登下校に欠かせない 音楽。ガサゴソとカバン をあさってプレーヤーを 探すけど、見当たらない まさか忘れるなんて! 電車の中は暇だし、しかも 地下鉄だから携帯は圏外。
思わずはあ、とため息 が出る。音楽聴かない と一日が始まらないよ なあとへこんでいると 見慣れた男が私の横に来る。
「おはよ」 「あ、水谷。おはよ」
水谷を見ると片耳だけ イヤホンをとって私に 挨拶していた。羨まし いとイヤホンに目を向 けていると、水谷はく すくすと笑ってイヤホ ンを片方だけ差し出し てきた。
「俺ので良かったら、 一緒に聴く?」 「いいの?嬉しいっ」 「あはは、音量これく らいでいい?」 「うん、調度いいよ」
水谷のイヤホンを一緒に はめると改めて距離が近い と思ったら、何だか落ち着 かなくなって目を閉じた。 ポップな曲が私の身体全体 に染み渡る感じになり心地 良かった。水谷はなんて良 い曲を知っているのだろう
「もしかして気に入った?」 「どうして?」 「なんか、良い顔してたから」 「な、!」 「あはは、気に入ったん ならCD貸してあげるよ」 「ありがとう」
プレーヤー忘れたおかげで 新しい曲も知れたし、朝か ら水谷にも会えたし、私は ラッキーだなと思った。
元気の源はキミと音楽
(それから水谷とは音楽) (の貸し借りの仲になった)
20110705.
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