小話 | ナノ


∴武州


『あねうええ
たんじょうびおめでとうごぢいます
そうごより』

『ミツバ殿へ
誕生日おめでとう!何日か前から総悟が道場でずっとその話をしていたよ。稽古が終わったらそっちに顔出そうと思う。
近藤』

『ミツバさんへ
誕生日おめでとうございます!!
いつもいつも差し入れありがたいです。
ホントに生き返ります。
季節の変わり目だから風邪には気をつけて!
道場一同
追伸 弟さんは順調に強くなっています。そのうちこの道場じゃ誰も敵わなくなるかもしれません。』

『誕生日おめでとう。土方』

「まあ」
玄関の上がり口に置かれていた手紙には、それぞれの筆跡で、ミツバの誕生日を祝う言葉が綴られていた。こそばゆい感情が、ミツバの胸を駆け抜けていく。
「今夜が楽しみね」
騒がしくなるであろう数時間後を想像すると、その顔に自然と笑みが浮かんだ。

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去年の書きかけを今更完成させてみた。
小さい子が「さ」をひっくり返して「ち」って書いちゃうのっていいなと思います。
ちなみに道場一同からの手紙は一行ずつ筆跡が違います。