【金髪の男の子がやってきた。】

深夜。部屋の主が眠りに就いて、静けさだけが支配する部屋に、訪問者があった。今度の訪問者は一人だけで、一見、手ぶらのようにも見える。そっと入ってきた彼は、扉のすぐ傍に落ちているものを見て、そっと避けた。
「何コレ…ってうっわ生臭!魚臭い!っていうかこれ魚?!」
海藻に巻かれた魚を見て、彼は顔をしかめる。
「これ、どーすんだろ…放置、でいいかな、いいよな」
彼はこの部屋に不釣合いな奇妙なものを放置することにしたようだ。
「テーブルの上、いっぱいだな…」
暗い部屋を手探り状態で進む。花の香りに意識をむければ、それもテーブルの上からするようだ。
「枕んとこでいっか。なんかクリスマスプレゼントみたいだな」
彼はポケットの中から一通の大きめなメッセージカードを取り出した。白に薄いピンク色で飾られたそれを、彼は部屋の主の枕元に置く。
「よし!できた!っと、ばれる前に早く帰ろう……ここら辺、俺ん家と違って寒いんだよなぁ…。おっと、忘れずに、っと」
テーブルの上に置かれた箱の上に、小さな箱を積み重ね、彼はメッセージカードを取り出した方と逆のポケットから手袋を取り出した。暗闇に目が慣れてきた彼は、手探りだった入室時とは反対にスムーズに扉まで歩く。
「……………」
最後に、まだ放置された魚に視線を寄こして、彼は静かに扉を閉めた。
部屋は変わらない静けさを保っている。部屋の主が起きるまで、まだ数時間前。






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