目の前には、色とりどり、形も様々な茶菓子が絶妙なバランスで並んでいる。
それらは、多種多様と形容してもなんら問題ないほどである。
「さすが我が家の料理人といったところか」
完成度の高い茶菓子たちについ笑みがもれる。
「今日のお客様は誰だろうな」
知らず知らずのうちに手慣れてしまったセッティングも済ませ、あとはお客様がくるだけ。
今日は俺の好きな紅茶。
花のような優しい香りと透明度の高い琥珀色がカップを満たしていく。
1人の茶会も悪くないとは思うけれど、中天の頃を過ぎても誰も来ないなんて珍しい。
「本当に珍しい」
そう呟いたのは、見知らぬ人の影を見たから。
深く被ったフードのてっぺんから靴の先までセピア色の不思議な出で立ち。
「こんにちは。……素敵なお茶会が催されていると聞いたんだけど、それはここのことかな?」
近づいてきたかとおもうと、臆することもなく話し掛けてくる。
「そうだろうな。毎日お茶会なんてしてるのは、俺のとこぐらいだ」
「それで旅人さん、あんたは何者だ?」
立ち上がり、椅子を引いて席を勧める。
遠路はるばるやってきてくれたお客返すなんて、失礼だろう。
「カル・ノ・レル。萬屋です」
正直なところ、誰かなんてたいした問題じゃない。
こんないかれた茶会にくる奴らはしれているし、この不思議な世界も同じだ。
ひとまず、
「Welcnme wonderland」
むせかえるような甘い気配とバターの存在感。それに、芳ばしい紅茶の香り。
鼻孔をくすぐるそれらは、蠱惑的ですらある。
さすがに、あの森に入ったときには困惑したけれど、――植物以外の生物を拒絶しているのだから――間違ってはいなかったようだ。
「森も十二分に興味深いけど……」
今日の目的は、お茶会。
いかれたお茶会。
「それにしても、ここは本当に面白い」――世界ごと興味深い
やっとお目当てのものを見つけて本音がゴロリ。
「こんにちは」――帽子屋さんと声に出さず呟く。
突然訪れたのにもかかわらず、それはそれは丁寧にもてなしてくれた帽子屋さん、名を司というらしい。
「本当に素敵なお茶会でした。ありがとう」
日もかなり傾き、あと数刻もしたら黄昏時。
つい長居してしまうほどに、お茶もお菓子も美味しかった。
司君もとても素敵な人だった。
あの森も気になるし、また来てもいいだろうか……。
それに、せっかくだからお気に入りの音楽の中でお茶会というのもいいと思う。
「司君、音楽家を連れてくるから、また来てもいいかな?」
あとがき
先に、
テン様ごめんなさいっ!!
グダグダな上に『W.W.』の素敵な世界と司君を活かしきれなかったです。
あと、はてしなく尻切れ蜻蛉;
うわぁ、もう、どんなに頭を下げても、下げ足りませんorz
でも、コラボ(はたして、これをコラボと言ってもいいのだろうか……)というものを初めて書かせていただいて、すごく楽しかったですし、勉強になりました。
テン様、今回は本当にありがとうございました!
オリ・コノさまへ
うちの司がスタイリッシュになっている件について!!笑
素敵なコラボ小説をありがとうございます(^^) 萬屋さんが好きすぎる 笑
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