名前が、やってきた。

 




『今日も可愛いよ平助くん』

「な、なんだよ急に…」





屯所の縁側で、源さんの持ってきてくれた団子は
ほとんど新八に食われちまった。


…団子、
よく意外と言われるが、割と好きだった



改めまして

名前じゃねぇけど
おはこんにちばんは

新選組十番組組長
原田左之助だ。






『…えー、もーないの、お団子』

「悪ぃな名前ちゃん。左之が全部食っちまった」






いや…、どー考えても

おめーだろーが新八





「何言ってんだよ…」

「新ぱっつぁん、ほとんど食べちまったくせによぉー」

「ばっ…平助っ」

『えー、新八さんー』





たくさんあったはずの団子は
すでに寒そうな串だけの姿になっちまった





『栄養、絶対ぜんぶ筋肉にまわってるでしょ』









名前のやつ

…食べたかったんだろうな、





頬をぷくりと膨らまして、俺ら三人の前に現れたのが


新選組の副長補佐でやってる

水無瀬名前


新選組唯一の女だ


まぁ唯一っつっても

それには例外の嬢ちゃんが一人いるが
それはまたおいおいだな。






「悪ぃな名前。また巡察のときにでも買ってきてやるよ」

『いい』

「はっ、左之振られてやんの」

『新八さん、煩いです』





…おいおい、まじかよ

拗ねてんのか。
新八じゃあるまいし、こんな返しがくるとは






「…名前?」







そっこう、俺の申し出を断ったこいつの顔を覗いてみれば






『今度は、二人でいこうよ。茶店』

「…あぁ、いいぜ」






いつもは総司と悪態をつく名前だが

ひとたび、こんな可愛い返事を返すこいつを
内心気に入ってる奴は

ここには、嫌ってほどにいやがる。






『千鶴ちゃんにも、買おう左之』

「ああ。」

『ふへへ、』






名前は

一見あぁ馬鹿やってやがるが
ああ見えて、武芸に秀でてる

剣の腕も確かだ


飯も美味い

何より










『今日も艶めかしいよ左之』

「ありがとよ、名前」








……別嬪だ。







(なあ、新八さん)

(俺ら、存在忘れられてね?)
(…ああ)

(…あ、まだいたの、新八さん平助くん)

((……))

(そういえば新八さん、そろそろ巡察じゃないですか?)

(敬語!!?)

(早く行った方がいいっすよ)
(泣いていーい!!?)











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