Il disonore di un seguace




「ったくよ、なァんだって俺が、美しいシニョリーナの頼みじゃァなくて」

「こんな変態従者の頼みを、聞かねーとダメなんだ、でしょ?デビト」



危ない雰囲気を辺りに漂わせる銀髪に
眼鏡の長身な茶髪の青年二人が

前を歩く、もはや小走りの青年をジッと見つめる。



「パーチェ!デビト!何なんですかあなた達は…、
お嬢様のことが心配にはならないのですか!
お嬢様にもしもの、ことが…あれば……
私は…私、は………」



紳士的な黒色のスーツを着こなした彼は

何かに耐えられなくなったのか、己の黒い帽子を、片手に
ブンブン振り回し

嘆き、天を仰いだ



「心配はしてるよぉ、これでも。
でもお嬢、そこらの大人にくらべたら、強いし、
余程のことがない限り大丈夫でしょ」



パーチェの言葉に、ルカの体が大きく一度
揺れた



「っ…………オィ、危ねェだろーが…」

「ルカちゃん、いきなり止まるのは無しだよー」



前を歩くルカが足を止めたため
同じくその後ろを歩くデビトとパーチェも

歩くのを止めざるをえなくなる



「パーチェ、いまあなた………何と言いました?」

「え?いきなり止まるのは無しだよー」

「その前ですよ、その前っ」



うーん、と考え込むパーチェの答えを待たず
ルカは話し続ける



「…その余程のことが起きてしまったらどうするのですかっ…」

「オィ、相手が違ェだろーが………んで、俺を見る、ルカァ」



ルカはパーチェではなく
後ろを振り返ってデビトの顔を覗き込んだ

同時に、デビトの眉間には
大きな皺が刻み込まれる



「お嬢様……」

「つかよォ、心配もなにもルカ、おめェが悪ィんだろーがァ」

「そうそう。お嬢ひとり、買い物にいかせたのは、ルカちゃんだしね」

「なんだって従者が、お嬢様に従者やらせてんだよルカ…」

「確かに、そうですけどっ……そうなんですけどっ…」



ルカは、ファミリーのトップであるモンドの娘
フェリチータの従者で

彼女が幼いから、身の回りのお世話やなにやらを
そばで、こなしてきたのだ

その溺愛ぶりは、モンドに適わないものの
その次に並ぶほどだろう

ルカのフェリチータへの溺愛ぶりは
ファミリーの幹部たちには周知の事実

だから、ルカがフェリチータをひとりで
街に買い物の許可を
出すことほうが、彼らにとっては不思議なくらいなのだ



「そもそもルカァ、
なんでお前、バンビーナをひとりで買い物にいかせたんだァ?」

「あー、それ俺も思った。どうしてルカちゃん?」

「し、仕方なかったんですっ…」



ひとりうなだれるルカに
パーチェとデビトは問う



「いままでずっと欲しかった薬草が、今朝やっと入ってきたばかりで…」

「………」

「………ルカちゃん、で?」

「それを、…じょっ、ジョーリィに…横取りされそうに…」

「…………」

「……ルカちゃん」

「いま思えば、後悔ばかり……
やはり、自分で行けば良かっただの
自分も一緒に行けばもっと良かっただの…」

「良くならねェーよ」

「だいたいあのジジィっ…いつも私の材料を、勝手に……!」



ジョーリィは、ファミリーの相談役
モンドの次の権力者だ

そしてジョーリィはルカの父親でもあり

彼の、錬金術の師匠でもあるのだ



「………」

「だから、代わりにお嬢様に行ってもらって…」

「自分で行けバァーカ」



ルカの言葉に、聞き耳を持つことなく
ルカを押しのけてデビトは前へ足を進めた。



「はいルカちゃん、帽子」



パーチェは、地面に落ちたままだったルカの帽子を拾い上げ
それを彼の頭の上に乗っける。

そして、前を歩くデビトに続いた



「ルカァ、もしもバンビーナが奴らに攫われるようなことがあれば…
……今後、バンビーナへの接触は禁止だァ」



デビトの言葉を聞いたルカが
己の顔を地面から上げたとき

前を歩いていたはずのデビトとパーチェの姿は
すでに、何処かへと
姿を消してしまっていた。



「………………」



ひとり残されたルカは
膝についた汚れを手で払う



「…………ん…デビトは、いま…」



バンビーナと、接触禁止

接触禁止

接触、禁止



接触、きんし



きんし…?



「………………嘘、」












prev - next

back



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -