Due giovani signore












「ありがとう、おばさん」

「重くなっちゃったねー、大丈夫?いつもの人はどうしたの」






店主から手提げを受け取る
いつもの人とは、きっとルカのことだ






「今日は来れなくて、私ひとりなの。でも、大丈夫」








ファミリーでいま、自分の大捜索が行われているのもいざ知らず

その対象人物─フェリチータは
お店の店主に もう一度お礼を告げた
















「ルカ…」





いったい、どれだけ
まとめて仕入れちゃったのあの人…


フェリチータの両手には
籠のバッグ

その中には
ルカに取りに行くよう頼まれた、薬草やら何やらの材料が
たっぷりと詰め込まれていた





自分のよく知る人物
しかも家族同然の関係になっている人物の頼み事だからと

無闇に引き受けてしまったことを
すこし後悔するフェリチータ














「本当なら今日は、久しぶりに
ノヴァの聖杯の巡回についていくはずだったのにな…」






フェリチータが、手元の手提げを見つめ
何度目か分からない溜め息をもらした。






「平和だなぁ…」




そう、呟いた
───まさにその時だった───



「おい、お嬢ちゃん!」

「!……はいっ」



後ろから、肩を叩かれ
仕舞いにはそちらの方へ無理やり向かされる始末



「…あ、」



見たこと、あるその人

声をかけてきたのは、先ほどの薬草を仕入れたお店の隣の主人だ



「お嬢ちゃんにこんなこと頼むのは、少し野暮だが……
その服装からして、あんた、ファミリーの人間なんだろう?」

「はい、そうですけど」

「そうと決まれば話は早いっ!」

「えっ、あの…!」



主人に手首を掴まれ
フェリチータは戸惑いながらも

彼に事情を尋ねた



「ほら、最近連続して若い女が誘拐されてるだろう?
いま、まさにソレなんだ!」

「ちょ、あの…イマイチ状況が」

「嬢ちゃんと同じ年頃の女の子が、いま、まさに、攫われそうなんだ」



フェリチータが、主人にそこまで聞いたころには
もう、その“現場”へとたどり着いていた



「…………!」



フェリチータが目にしたのは

自分と同じ赤い髪の少女が、レガーロ男に手首を掴まれているところ


だが、不思議なのは
する気がないからなのか、その少女が抵抗する様子が全くないところだ


(…あの子、どうして………)





フェリチータが、その光景に
目を見張る

彼女がそれに見入ってしまった最中
後ろから、大きな物音が聞こえてきた



「物取りだぁーっ」

「おい、ファミリー連中がきたぞ!」


「…あれは、ダンテ…!」



駆けつけたのは
諜報部幹部、リベルタの上司

スキンヘッドの彼、ダンテだった


ファミリーが現場に到着したことを知らせる
レガーロ住民の声

その声に反応したのは
フェリチータだけではなかった



「ちっ……おい女!さっさと歩け!」



そうこうしているうちに
レガーロ男は頭に血が上っていったのか

少女の体を乱暴に引っ張り
本格的に、連れて行こうとしはじめた




「おい、あの子まじで連れてかれちまう」

「ファミリーはまだか!」

「あいつら今それどころじゃねぇだろう」



腕を引っ張られ
男たちに、少女は黙ってついて歩いている



「…あの子、連れてかれちゃうっ………!」



フェリチータが、野次馬をかき分け
最前列へと出てこれたその時…



「ねぇ、お兄さん達さ」



少女が、ようやく

動き出した。



──




事が終わったのは
気がついた頃で

いつの間にか、隣には



「…やぁ、お嬢さん。お手柄、なのかな?」



ダンテがいて

あの赤い髪の少女が制裁したレガーロ男達は

いつの間にか
自分が、捕縛していた



「…ねぇ、ダンテ」









ファミリーでもない

レガーロ島の住民かもわからない

そんな少女が
アルカナ能力を持っているかもしれない

そんなこと、信じられる?



「……ううん、何でもないの」



フェリチータは
立ち上がって、地面の籠を手に持った



「帰ろう、ダンテ」







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