「名前」

好きだよ…



そう言って、沖田組長は
私の肩に両腕を預けた







「名前は……?」

『はい、』

好きですよ。







あなたのことは、よく知っています

だって、
私とあなたは似ている……





あなたが、病を抱えていることも

居場所を求めているのも

必要とされることで、
存在意義を見いだしていることも

尊敬する人から、もうお約ゴメンと告げられる怯えた毎日を過ごしていることも


全部。






「ほんと?」

『はい、ほんとです』





あなたのことは、よく知っています

だって、
私とあなたは似ているから……




あなたは、私という存在で
己の寂しさを埋めようとしている

そして
私は、

あなたが与えてくれる
無条件の愛に、一瞬の孤独を忘れることができる







『好きですよ』








だから、私に愛をくれるあなたに


あなたが
一番求めている言葉を与えてあげるの。







『私には、あなたが必要ですよ』





だから、


『死なないで、生きていてくださいね』

















「……ありがと、名前」








そして、あなたも気づいている…









名を呼び名から
私の背に回されたあなたの腕は

私を

絞め殺す、鎖の様。







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