「あっ…名前じゃん!」

『……あ、平助』







左之に、新八も。








「お疲れ様、今回もまた一段と長かったな」

『そうかな?』

「成果は、どうだ?」

『うん。いろいろ掴めたよ』







長州へと、潜入捜査を終えて

一月ぶりに私は
新選組に戻ってきたのだ


ここを離れている間は
恋しいと思うこともあるが

ここに戻ったときの
みんなの言葉は、何より嬉しい。








「少し、痩せたんじゃねえか?」

『そうかな?』

「…そういや、更に華奢なカラダになっちまった」

『自分じゃ、分かんないよ』









左之の、細かいところに気が付くところも
新八のストレートな言葉も

変わらない







「明日からは、少し非番貰えるんだろ?
いっぱい飯食って、ゆっくり休めよな!」







平助の、優しい言葉も。










「あぁ、疲れたときは美味い飯食うのが一番だしな」

「そーそ。今日は確か千鶴ちゃんの飯だったな、楽しみだぜ」

『…千鶴?』








聞き慣れない、女性の名前に
私は素直に

疑問の意思を露わにした









「あー、千鶴……綱道さんの娘さんなんだ」

「訳あっていま、ここの預かり者」







平助が
頭をかきながら、教えてくれる







『へぇ』







私の任務、一週間後のことらしい


彼女、雪村千鶴が
ここへとやってきたのは。










「ま、そのうち土方さんから話があるだろうぜ」






左之の大きな手が
私の頭をポンポンと上下する。



……そんな時だった


彼女が
やってきたのは











「皆さん、こんなところに入らしたんですね」落ち着いた少女の声だ。


話をした手前
持ち主が誰であるかは、予想がつく。








「お、千鶴じゃんか。どうした?」

「井上さんが、八木邸の人からお団子を頂いたって。お茶にするみたいだから」









男装を義務づけられたその少女は
平助と談笑を終えたあと

すぐに私を見つけた


だが、私を見つめるその目は
さっきまでのものとは

明らかに違うものだった。








「……その方は、」

「あぁ、そうだよな。名前が知らねぇんだから、千鶴が知らないのは当たり前か」







平助が、さっき私に彼女の説明をしたように
今度は彼女に話した。

その間、彼女が
私から視線を逸らすことはなく

その瞳は、どこか好戦的なものだった。













「…女性だったんですね、」

「あぁ。」

「また、しばらくみないうちに別嬪になって帰ってきやがって」







今度は新八が───左之とは違い────
わしゃわしゃと、髪が乱れることなどお構いなしに撫で回す







『ちょ、新八っ…』

「っ、どこ見ていいのか………─目のやり場に、困るんだよっ…!」

「なに新ぱっつぁん、今更照れてやんの」







そのあとも、
しばらく談笑が続いたが


彼女─雪村千鶴が

私に笑いかけることはなかった。



















「あの、」







去り際、彼女は私を呼び止めた

少し怪訝そうな表情を浮かべて







『…何?』

「……私っ、負けませんから」

『…ふーん』

「…本気です…!!」







強がりという名の
仮面をかぶった少女は

愛に飢えた、気弱な少女。








  





──
──








はい、というわけで。

予想以上の
薄っぺらい文章に…(゚Д゚)


ヒロインが、長期任務のために
屯所をしばらす留守にしているお話

そんなときと平行して
はい、雪村千鶴が屯所へ。

そして、着々と自分の居場所を確立していたわけですが…

彼女、ヒロインの帰郷により
崩れていき

組長クラスの隊士のみなさんが
彼女のところへ流れてしまったのです。

それが、彼女──千鶴の誤算でした



みたいな?










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