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『…………』







ジロリ。 朝から嫌になる。



なぜ私が、朝っぱらから藤堂に睨まれなきゃなんないの。





「おはようございます名前さん。」

『…………あぁ、おはよ』






素っ気なく答えた私にも
にっこりと普段から変わりない笑顔を浮かべた千鶴ちゃん。


だけれど、ある馬鹿な人がいるから
おかげで 千鶴ちゃんともろくに話せやしないじゃないの。






『…………』







雪村千鶴ちゃん。






「あの、今日の朝餉なんですけど…」

『あっ、ごめん』





ジロリ、







『………私、今日は任務があって、さげといてくれるかな』

「………は、い。…わかりましたっ」







ギロッ。







…ほらまただ。







「今日の巡察は名前さんの隊ですよね。」

『うん、そうだよ』

「今日はもう仕事がないので、私 も…」

『あー、ごめん。今日は原田さんと変わってもらってさ、夜の巡察だから。千鶴ちゃん来なくていいよ。』

「え。」

『原田さんに頼んできたらどうかな?』







ごめんね、千鶴ちゃん。



そして

面倒くさいよ藤堂平助。







……そして思い出す。
ああ、こいつ
そーいえば 知らないのか、と。







『………』

「では、私はこれで」

『あ、朝餉よろしく』






その千鶴ちゃんが私の前から居なくなる。
私は気持ち、ホッとする。

いや、千鶴ちゃんが嫌なんじゃないよ。


……まぁー、千鶴ちゃんがいなくなったいまでも
この場にいる藤堂は気にくわないけど。

色々聞かれるのが面倒だ。
できることならはやく何処かへ行ってくれ。






「…おい。」

『…………何よ』






背を向ける私を、逃がすまいと腕を捕まえた藤堂。
何でかって?


私に文句を言うため。







「挨拶くらい、普通にしてやれよなっ」

『あんた毎回うるさい』

「心が籠もってないっていってんだ!!」

『言葉は籠もってるわ』

「あー言えば、こー言いやがって…!」

『馬鹿の一つ覚えみたいに、毎度毎度同じことばかり言いにこないでくれない?』






何にも知らないくせに。
相変わらず口は減らない人。

黙ってたら、格好良さ気なのに。






『そんなに千鶴ちゃんが好きなら、あんたが心籠もった挨拶してあげたらいいじゃないの』

「なっ…いってぇな馬鹿!」














私だって、 千鶴ちゃんと話したい。

でも、いまのこの態度でいることが
千鶴のため。











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