『……平助?』





あぁ、愛しい君の声。
愛しい君の彼を呼ぶ声。

それが聞けた彼は、強くなり
君がいなくなった彼の 明日の生きる意味になり

糧になる。






「…………名前」






彼女は、優しい表情で振り向いた。




………最後。
きっと、ふたり縁側で、寄り添う影をみることも
互いにいがみ合い、尊重しあうことも

きっと、最期。






『……なによ』

「………いや?」

『ふーん、ならいいけど』






できることなら 終わらせたかった。

君を、彼と一緒に
でも、彼はそれができなかった。






『……あの人はね、悲しい人だから…… 頼り方を置いてきた人だから、私がしっかり 監視しとかないと。』

「……監察に監視されちゃあ、休むしかない じゃん」

『…ふふっ』






彼女は彼と生きる未来ではなく

あの人の抱えるものを
共に支えることを選んだ。

その大きな重荷を
やがて 彼らの誠にする日まで


彼女があの人のもとから離れる日は
来ないのだろう。



だけど

彼はそれでも願う。
彼の未来に
彼女と生きる彼の未来があることを。






『……………平助なら、伊東先生を超えられ るよ』

「……なんだよ急に」

『そのままの意味だよ。藤堂平助は伊東甲子 太郎を超える。』







そして、彼ではない あの人を選んだ彼女は

どんな未来を思い
どんな奴を思い浮かべ
どんな人を愛するのかを

そのどんな彼女の未来にも
己の姿があることを。



彼は願い、祈る。

できればこの先
離れた彼らが、敵として交わることがないように。






『…そして、平助はね……私を置いていったことに後悔して』









もしも今日が最期なら
思う存分彼は己に 彼女を刻みつけるよ。


そして、
もしも明日も、変わらぬ日がくるのなら彼は








『私をみつけて、私を迎えにくるんだよ』



















(平助なら、伊東先生を超えられるよ。)

(あの言葉に)

(いまも、どれだけ俺が支えられているか)

(君には、もう)


(知ることはできない事実。)











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