「…………えっ」

「………ぅおっ!!!」

『…………』





私を見るなり、千鶴は
鳩が豆鉄砲をくらったかのような顔をした。




「えー、知ってるやつは知ってるだろうが。冴嶋美悠だ。冴嶋にはマネージャーとして、入部してもらう。」



そこから土方先生は、私にバトンタッチした。

総司や一君は、私をみて
優しい笑みを浮かべてくれた。





『……冴嶋美悠です。よろしくお願いします。』



それからのことは
あまり覚えていない。










───

───






「やっぱり女の子が増えるのっていいね。ね?一君」

「あぁ、美悠が引き受けてくれて嬉しく思う。……だが、何故俺にふるのだ」



ここは剣道部の部室。

みんなの休憩時間を利用して
親睦を深めようとかなんとか、誰かが言い出した。





『…ごめん千鶴、黙ってて。』



先ほどから会話に入ってこようとしない千鶴
隅の方に座って
私のほうをじっと見ていた。



「………聞いてない」

『うん、言ってないもの』

「!………酷い!」



千鶴は真っ赤な顔で
立ち上がった。



「…っそこは、」

『………』

「うん黙っててごめんね、って言うところだよ美悠ちゃん!」

『黙っててごめんね、千鶴』

「…………」

『…………』



千鶴は、また顔を真っ赤にさせた。
そして
私の隣にすわる平助を押しのけそこに座った。



「…っ、千鶴なにすんだよ………」

「平助くん、知ってたんだ……」

「…ま、まぁ。でも、本当に美悠が入部するなんて、思ってなかったっていうか……」

「……狡い」



千鶴のようすがおかしい。
察したのか、平助はそれ以上何も言わなかった。



「沖田先輩、斎藤先輩は知ってたんですか!?」

「…うん。まぁね、………千鶴ちゃん、近い…近いから」

「みんなして、私を騙して………」





千鶴は、さらに顔が真っ赤だ。
それにくわえて
わなわなと震えている。







『私が決めたの』

「…………」

『確かに、誘われた。総司に』





でも





『最終的に、決めたのは私』

「バスケ辞めたこと教えてくれなかった」

『それは、千鶴にだけじゃないよ』







千鶴は顔をあげた
まだほんのりと赤い頬が可愛い。











諦めたことで
手に入れたものは、置き換えられるくらいの
置価値にはなれただろうか

















「バスケ、辞めたこと、後悔してる?」

『…────』













その質問には

答えられなかった。










 

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