どうせ本当のことなんて言ってはくれないのだ。 そう思いながらも、フレンは聞かずにはいられなかった。 「どうして、私なんですか?」 想定していなかった言葉なのだろう。 寝台に腰を下ろしていたアレクセイは、感情の読めないうすい笑みを浮かべながらゆっくりと首を傾げた。 「どういう意味なのだろうか」 「そのままの、つもりですが」 かたいフレンの声に、アレクセイは笑みを深める。 フレンはぎゅうと眉を寄せた。 「君が好きだから、だが?」 「……」 最初から、分かっていたのだ。 彼が本当の胸の内を言うなんてない事くらい。 それでも、少しだけ信じていたかった。 「おいで」 下らない問答はこれで終わりだと言わんばかりの強い口調に誘われるように、フレンはふらりと歩を進めた。 それが権力という逆らえないものに屈した結果なのか、偽りのない彼の言葉を求めてなのかは自分でも分からなかった。 今日も貴方の愛を求めてなくの 本当は全部知っているくせに |