06一緒がいいね

「……ノーウィスが…」
「──キングダム‥ハーツ…?」

呆然と立ち尽くす
考えもしなかった"答え"に

「はい…この方はキングダムハーツです
 正確に言えば、キングダムハーツから生まれた…」
「訳分かんないいわ、ちゃんと説明しなさいよ」
「…持ち主を失った心はキングダムハーツへと導かれる
 そのキングダムハーツから…清い部分──キーブレードの勇者、ソラによって集められた"心"が…零れ落ちたんです」
「零れ落ちた? 一体何故──」
「──望んだから…」

ゼクシオンが呟く
皆の視線が彼に運ばれる

「きっと、考えても理由なんて分かりませんよ
 だったら、僕達が望んだから…と云う事にしませんか?
 まぁ、僕は…」

ノーウィスに歩み寄り、優しく頭を撫でた

「どんな理由も正体も真実も関係無く、ノーウィスには此処に居て欲しいですけどね」
「ノーウィスも此処に居たいよな?」
「うん、皆と一緒がいい」

シグバールに抱き上げられたノーウィスが言う
シグバールはニッと笑ってノーウィスに頬摺りをした
擽ったい、とノーウィスが笑う

「では、これからも14人、ずっと一緒だな」

ルクソードが言った
皆頷いた中で、ノーウィスが不思議そうな顔をする
どうした、とシグバールが問うと、ノーウィスは彼の腕から擦り抜け一人の少女に駆け寄った

「14人じゃないよ、15人だよ
 ナミネとも一緒がいいよ」

ノーウィスの言葉に沈黙が流れる。が、それはすぐに破られた

「──そうだな
 お前がそう言うのなら…ナミネとも一緒だ」
「やったぁ!」

ノーウィスがナミネに抱き付く
その行動よりも、機関指導者の言葉に驚いて、ナミネはゼムナスを見る

「…ありがとう…ございます」
「ノーウィスの為だ、お前の為ではない」

理由は何であれ、ノーウィスと一緒に居られる
ノーウィスが求めてくれた事で"存在"を認められた気がして、ナミネは嬉しさから涙を流した




──黒服13人と白い少女、そして[心]から生まれた少女

彼等の幸せと呼べる生活は、始まったばかり──







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