「あれー、トゥッティどしたのそんなとこで」
「慧斗。いや…隊長がな、ほら」
「ああああああああああ」
「ほえ!? な、何、どしたのさ」
「知らん。先刻からこうなんだ」
「あああああ…十夜に慧斗ぉ…あああああ」
「た、たいちょ、一体どしたの」
「いつにない発狂ぶりだな」
「だって二月になってしまったじゃないのよぉぉぉぉ」
「二月?」
「何かあったか?」
「チョコレートが馬鹿売れするじゃないよぉぉぉぉそんな時期じゃんよぉぉぉぉ」
「…バレンタイン?」
「色々と世話になってるから今年こそとか思ってたんだけどヤヴァイんだよぉぉぉぉ」
「誰にあげたいのかは知らんが朽木家の台所借りればいいじゃないか」
「それは駄目よ!! 何故なら過去に白哉さんちの台所をカオスにしてるから!! いやあれは混沌なんてもんじゃない。宇宙だ宇宙。宇宙ヤヴァイ」
「たいちょの方がヤバイよ…」

◆◆◆◆

「で、結局チョコは誰に渡したいんだ?」
「我等が頼れる副隊長・時雨チャンよ」
「うあ、ハードル高っ
 シグちゃん料理上手いじゃん」
「そうなのよ
 …あのね、チョコとは全然関係ない時期にね、お菓子の作り方教えてちょ、って言った事があんのよ。まさか作り方訊いた本人にあげるとは思わないだろうし
 そしたら。時雨、なんて言ったと思う?」
「さあ。時雨副隊長は貴方以上に思考が読めん」
「んっふっふっ。聞いて驚け。なんと時雨は!」
「時雨副隊長は?」
「何も」
「ほえ?」
「何も言わなかったのよ、何も!
 鼻で笑いやがったのよぉぉぉぉ!!」
「うわぁ…」
「下手に何か言われるよりもダメージあるな、それ…」

◆◆◆◆

「…とか何とかやってる内に前日なんですけどぉぉぉぉ」
「練習は…してないな、その様子じゃ」
「あー、慶ちょんに頼んでみれば?」
「あぁ、そうだな。慶羅なら快く教えてくれるだろ」
「駄目」
「なんでー?」
「慶羅はあたしを慕ってくれてるから。なのにあたしに料理を教えるなんて地獄の試練を受けさせるなんて駄目よ。あたしは可愛い慶羅を悲しませたくない!!」
「言ってて悲しくならないか」
「もうこうなったら、ミラクルを信じるしかないわ。よし、琉華に協力してもらお」
「たいちょ、聞こーよ人の話」
「ミラクルを起こして作って、琉華に毒味してもらお。もうそれしかない」
「味見じゃなくて毒味なのか」
「え? …あ」
「わー、ルーくん死亡フラグー」

◆◇◆◇

※夢絵注意

「ル、カ、くん」
「んあ? なんだよ」
「何も言わずにコレを受け取って! あたしからのキモチ」
「…オイ、なんか奇妙なオーラ出てるぞ」
「んふ、気にしたら負けよ」
その顔だとお前が一番気にしてねぇか?」
「バレたか…。実はねぇ、かくかくしかじか、と云う訳よ
 来年の参考にするから是非とも味見を」
毒味の間違いだろ…」

しかし、何だかんだで受け取ってしまう優しい琉華くん

「どうすっかなぁ…」
「琉華」
「十夜。…なぁ、これ一緒に食わないか。一人じゃ食う気になれん」
「味見ならいいが毒味なら御免だ」
「う…」
「頑張れ、死にはすまい。じゃあな」

一緒に逝かないか、と云う提案は、するっとかわされてしまった…
仕方ないので暫くフラフラ
と、悩みの原因の一人を発見

「時雨ぇ」
「青巳か。…なんだそれは」
「実はなぁ、かくかくしかじか、って訳だ」
「…はぁ、まったくあの人は…
 仕方ない、それを引き取ろう」
「え、おい、まさか食う気か?」
「粗末には出来んからな」
「うわっ、一口で…っ。だ、大丈夫なのかよ」
問題無い。慣れている
 巻き込んで悪かったな」
「胃袋丈夫だな時雨…」

ってよりも、単に味音痴なんだろうか


◆◇◆◇
おしまい!
琉華くん死亡フラグ回避おめでとう!
最初から普通に渡せば良かったネ
 



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