見送られマサラを出て、トキワシティへ向かう草むらを三人と三匹は歩いていた
「なんか…いつもと違う感じがするね」
「ああ、子供だけで通るの禁止だったもんな」
「そうだね。ねえ、君達も外に出るの初めて?」
手を繋ぐゼニガメに視線をやり、レッドが訊く
ゼニガメはそうよ! と頷いた
「あたし達そもそもあの家から出た事ないわ!」
「そういやしょっちゅう研究所遊び行ってたけど、いっつもボールの中だったよな」
「ええ。ぼくたちは研究のためにいたんじゃないから」
フシギダネの言葉に三人は驚いて三匹見る
「そうなの?」とシアンがヒトカゲに訊くと、おどおどとしながらヒトカゲが答えた
「ぼ、ぼくたちは、シアンちゃんたちと一緒に行くって、決まってたんだよ」
「そう、ずっと前から言われてたんです、誰になるかは分からないけど、ぼくらはマスター達と一緒に行くって」
「あたし達はね、ずっと待ってたの、この日を! ボールの中から、ずっとずっと!」
「それで、それでね、お願いしたいことがあるの」
三匹は三人から手を離して、早足に三人の目の前に並ぶ
何事かと立ち止まる三人に向かって、三匹は揃って声を上げた
「名前をつけて欲しいの!」
三匹は、「言っちゃった、言っちゃった!」と恥ずかしそうにしながらきゃいきゃいと笑っている
言われた三人はといえば、少しばかりぽかんと固まっていた
そして、一斉に吹き出した。三匹は笑い声に些かムッとして「何がおかしいの!」と抗議する
「ずっと夢だったのよ! あたし達だけの名前をつけて貰うのが!」
「ごめんごめん、別に馬鹿にした訳じゃないんだよ」
「そ。オレ達も、同じ事を考えてたからさ」
三匹の顔がみるみる歓喜に変わる
揃って「じゃあ、早く早く!!」と急かすので、三人はまた思わず笑ってしまった
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