モンスターボールから出した時よりは小さい弾けるような音と、煙が薄く舞う
三匹が居た場所には、三人の子供が立っていた
尻尾と甲羅、種と蔓、尻尾と炎。子供達にはそれぞれ元の姿の特徴が残っている
──このモンスターの擬人化装置は、ポケモンを完全に人の姿にはしない。三匹のようにそれぞれの特徴が残る。特徴が殆ど残らず人に近い姿となっても、纏う雰囲気で人間なのか擬人したポケモンなのか分かるように設定されている
擬人した姿は、そのポケモンの性格やステータスなどから作り出される。よって、同じ種族でも、同じ人の姿にはならない
三人の子供は、レッド達を見上げ、口を開く

「あなたがあたしを選んだのね!」
「初めまして、マスター」
「あ、あ…えと……」
「もー! 挨拶くらいちゃんとできないの!」
「う、ぁ、あの…は、はじめまして…」

青い髪の女の子が元気よく大きな声で言ったものに続き、緑の髪の男の子がぺこりとお辞儀をした
赤い髪の男の子は恥ずかしがるように下を向き、かき集めて絞り出したような小さい声を出す

「もじもじすんな男らしくないわね!」
「まあまあ。君のも挨拶とは言いがたいですよ」

緑の男の子の言葉に青の女の子は一瞬言葉を詰まらせるが、あれがあたし流なの! と開き直ったように言い訳をした
二人の隣で赤の男の子は恐る恐ると云う様子でシアンを見上げた
シアンはしゃがんで目線の高さを合わせ、笑顔を見せた

「私はシアンだよ!」
「あっ、あ…えと……」
「これから宜しくね、ヒトカゲ!」

ヒトカゲは一瞬ビクリとしたが、おずおずとシアンの差し出された手を握り返す

「うん、シアン、ちゃん」

はにかんだヒトカゲにシアンは、

「うああ、可愛い! ぎゅうってしたい!」
「!!!!」

したい、と言い切る前に、ヒトカゲを抱き締めた
ヒトカゲは「うあ、あ、あっ」と意味をなさない声を出して顔をその髪のように真っ赤にしている

「あーっあんた何してんのよ!」

それを見たゼニガメは二人に大声を出して、それからレッドに向かって両腕を上げた

「ずるい! あたしにもして!」
「いいよー
 あ、自己紹介してなかったね。僕はレッド。宜しくね」

レッドはひょいとゼニガメを抱き上げる
ゼニガメが満足そうに笑んでいるのを見て、フシギダネもグリーンを見上げ、人差し指を自分の唇に当てて首を傾げた

「ぼくにもしてくれますよね?」
「はあ!? なんでオレまで…」
「レッドさんて意外と力持ちなんですね。力持ちの人って頼りになりそうでカッコイイですよね。女の子は、カッコイイ人とそうでない人とだったら、やっぱりカッコイイ人が好きなんだろうなあ。所でマスター、ぼくは残念ながら三匹の中で一番軽いです」
「…そ、そこまで言うなら、しょうがねぇなぁ! ポケモンのワガママ聞いてやるのもトレーナーの仕事だからな!
 オレはグリーン。ちゃんと覚えろよな!」

グリーンに抱き上げられながらフシギダネはクスクスと笑う
──新米トレーナーにとって最初のポケモンは特別な存在となる
それは良い意味だけではなく、悪い意味も全て含まれるが──彼等は、彼等ならば大丈夫。これから先も、ずっと大切なパートナーで居る事だろう
オーキドはそう確信し、穏やかな笑顔で一人頷いた




始まりのマサラ
-「初めまして」-







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