夕闇高校、オカルト研究会。通称オカ研の部室は気味の悪い書籍、何がなんだかわからない置物やら紙やらで棚が埋め尽くされている。黒いカーテンの間からは放課後も終わりということを示すように夕闇の不気味に見える赤い光が差し込んでいた。

そんな部室でまさに噂の"検証"が行われようとしていた。



「なんで今更こっくりさんなんかするんダ、他にもやりたい検証が…」

「昔灰葉くんたちが入ってきた時あやふやになったままだから。聞きたいこともあるし!」

「こっくりさんは対象を間違えると危険なんだからナ…失敗したらオマエを生贄にしてヤルゾ。」

「勘弁して、ケイってば。」



そう、学年一のオカルトマニア数奇ケイとたまたまホラー好きということで仲良くなった私。
だいぶ昔に有名なこの心霊儀式のこっくりさんは検証したのだが、同学年の灰葉くんが儀式中に入ってきたのが原因で始めるか始めないかの微妙な所でやらないままだった。
だからさっさと検証しようというわけ。
やらなきゃいけない決まりはないけど、ホラー好きとしては好奇心上我慢できないものがある。

それはきっと、彼も同じだろう。



「じゃあ始めルゾ…」

「どきどきー」



始める為に一息吸い込んだ彼に水をさすような返事をしたからかキッ、と睨まれてしまった。肩を少しすくめて私は彼の人差し指の乗る10円玉に人差し指をのせた。



「こっくりさん、こっくりさん。おいでください。いらっしゃいましたら10円玉を動かして下さい。」



「…」

「…」


「こ…こっくりさん、こっくりさん。おいでください。」

「…」



シン…と静まり返るオカ研部室。
10円玉はまったく動く気配を見せない。



「動かない…ね」

「まぁ動くわけナイ。」

「え?」



私は素直に驚いた。検証とかオカルト現象を信じているケイがこんなにあっさり現象を否定するなんて。


「こっくりさんは動物霊や低級霊を召還することができると言われてイル。でも…この部屋はその手のモノがはいれないように魔除けがしてあるんダ。」

「それ…」

「はじめから10円玉は動かないぞ。」

「なにそれ!!やる意味ナイじゃん!」



ふぅ、とため息をついてケイがそのまま口をポカンとあけた私に呟いた。



「何を聞くつもりだった?」

「え」

「言え、検証されたいカ。」

「何それ、反則!!」

「で?」


「……と。」

「?」



小さく小さく呟いた。
ケイは聞き取れなかったのか眉を寄せてこちらを不思議そうにジト目で見ている。



「…ケイの、好きな人…」



私は真っ赤になりながら答えた。頬が熱い。こっくりさんなんていかがわしい危険なモノに頼る自分も我ながら馬鹿だとは思うが、オカルト意外興味を示さないクラスの異端児に近づく名目を考えて出した結果だった。

ケイは一瞬目を丸くしたがすぐに不機嫌そうな顔をして私に手を伸ばしてきた。



「いっ…!!いったたた!なにふんの、ひょ!!」

「うるさい。本当に馬鹿だな、オマエ。」



頬をつねられた私はケイの手を払いのけて赤くなっているであろう頬をさする。



「好きな人をこんなコトで聞きだそうなんて。それにオイラはオマエならもう知ってると思ってた。」

「…え?」

「だって、」



にぃっとケイが笑ったかと思えば私の体が引き寄せられていつの間にか目の前に彼の顔があった。



「オイラは好きでもない奴を検証したいなんて言わない。」

「な、」

「女でオイラが検証したいなんて言うの、オマエだけ。鈍すぎ。」

「…え…ま、まって。それって…」

「何回言わせるんだよ、オマエ。もっとわかりやすく言わなきゃわからない?」



状況が理解仕切れていない私が目を丸くしているとそのまま耳もとで声がした。



「…好きだ。オマエはオイラのモノだ。」




夕暮れの光が差し込む部室。
あぁ、私はまだまだ彼から離れられそうにない。




お前はオイラのものだと死ぬまで言わせる気か?




thanks for you and…
eniguma dream project!!







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