手にしたホウキがゆっくりと重力に沿って傾いていくのに対し、微動だにしないエルフの少女。
その瞳は一冊の本に釘付けになっていた。
「・・・コロナ?」
書斎に入って来たことにも気づいていない様子にユウは声をかける。
「え?あ、はい!?」
エルフの少女――コロナは目をまん丸に見開きこちらを慌てて振り返る。
「?いや、バドがさっき探してたから俺も探そ「あ!コロナ!!書斎だったのか!!」
言い終わる前に飛び込む声。
双子のエルフが揃ったところで蜂蜜色のクセの強い髪を持つ青年、ユウの目的は達成された。
そして、双子のいる書斎から身を引いた。
そう、それは数日前の出来事。
コロナが見とれていた本のことなど調べもせず、すっかり忘れていた。
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mokuji