※学パロ
本当にツイてない。
ツイてないったらツイてない。
「やだ、もうみんな帰ってるじゃん……!」
夕暮れに染まった廊下を早足に駆け抜け、置きっ放しにしている鞄を取りに教室へ急ぐ。
上履きが擦れる音以外に何も聞こえず、部活の終了時間も疾うに終わった今となっては生徒が見受けられない。
こんな遅くまで用事を頼んでいた先生を恨みながら名前は教室の扉を開けた。
「遅いですよー」
「え、あ、フ……フランくん!?」
「ミー、待ち疲れましたー」
ぶつぶつと机に腰かけて文句を言うクラスメイトに名前は反射的に謝る。
……が、彼と何か約束をしていなければ、こうやって話すのもほぼ初めてといっていいほどである。謝る必要性など皆無だ。
しかし名前はそんなことにすら気づかないほど緊張しており、心拍が高まっていた。
「あの、私を待っててくれたの……?」
「さっきからそう言ってるんですけどー」
嘘。嘘……すごく、嬉しいんだけど!
名前はこの無愛想なクラスメイトが密かに好きだった。
でも気持ちを告げるなんて勇気は持てないし、仮に告白できたとしてもフラれるのが関の山。できっこない。
ツイてないなんて言葉やっぱり取り消そうと名前が内心で呟いた時、フランが机から降りて名前をまっすぐに見つめる。
綺麗なエメラルドグリーンの瞳と交差した。
「お誕生日おめでとーです」
「……え、えぇ!!?」
「……何ですか。ミーが祝っちゃ可笑しいって言うんですかー?」
「そ、そうじゃなくて!だって私とフランくんてあまり話したこともないし、わざわざ待ってまで祝ってくれるほど仲良くないし!!」
好きな人におめでとうと言ってもらえた嬉しさと驚きでこれは都合の良い夢ではないかと思い始める名前。
「ミーだって、好きな人の誕生日ぐらい祝いたいんですよー」
………………すきなひと?
さらりと言われた言葉を理解するのに数十秒。
その間にもフランはじぃっと名前の瞳を覗き込むようにして見つめている。
時計の針が一周した頃、ようやく名前は震える唇で言葉を吐き出した。
「……告白?」
「告白」
「……、」
一拍間置いて名前の顔が赤く染まった。
好きをキミへ
(プレゼントにミーをどうですかーなんて)
(キャパシティオーバーしずぎて何が何だか……!!)
――――――
お誕生日おめでとうございます、蛙理さん!
私の時には素敵な絵を頂いたので代わりに小説をと書いてみたはいいんですけど、驚きの低クオリティ……!!
初めはりんごフランで書くつもりだったのにいつの間にかりんごじゃないし、しかもなぜか学パロに;
こんなのでよければ貰ってやってください。
今日という日が蛙理さんにとって良い一日となりますように!
叶亜