「…草壁さん、帰りたいです。あとサワダさんは今すぐ殴らせろ」
「すみません、姐さん。我慢して下さい」「そーそー。諦めて――バキッ!――てぇ!?」

言った通り殴って黙らせる。あぁ、嫌だ嫌だ!!
私達は今ボンゴレの大広間の前にいる。ドアを隔てた先にはボンゴレの幹部とサワダさんの元家庭教師(…名前何だっけ)がいる。…何でこうなったんだっけ、と考えてみる。

サワダさんが藍色南国果実に財団に居候してる私の存在を喋った→そいつが私に興味持つ→元家庭教師にも伝わり、幹部陣にも広がる→それ以降は広げない様に手を打ったけど、その代わり「会わせろ」と元家庭教師がサワダさんを脅した→私に断られたけど草壁さんに頼んで強制連行→現在

…元凶サワダさんじゃん。殴った事に文句言ってる元凶に、ラティオスのアルトに“ラスターパージ”を指示しようとしたら物凄い勢いで謝られた。アホだ。因みにアルトは姿を見えない様にしている。ダークライのナイトは私の影の中だ。“テレポート”使わず歩いて行くから、なるべく分からない様に連れて行ける子を出しておく。

「……もういい。諦めた。挨拶したら即帰る」
「!じゃあ入るよ?」
「ドーゾ」

棒読みで返してサワダさんの後に部屋に入る。部屋に入って一言。

「帰る」 「「「は?」」」
「え、ちょっ、待ってユウキさん!!」
「何」
「『何』じゃなくてちゃんと紹介させて!」
「いや別n「はーい、皆。この人が“雲雀さんとこの居候さん”のユウキさんだよ。ユウキさん、自己紹介してね」………はぁぁぁぁぁぁ」
「テメェ十代目に向かって溜息吐くなんて随分失礼じゃねーか!果たすぞ!!」
「煩い黙れ。私はボンゴレじゃ無いんだから貴方やサワダさんの言う事聞く義務は無いし、聞く気も無い。というか私、アポ無しで執務室言ってお茶飲める様な仲なんだけど。何、サワダさんって“十代目”って呼んで神の如く崇め奉られる存在なの?凄いねぇ、サワダさん?そんな素晴らしく似合わないサワダさんには1%の哀れみと99%の嘲りを以って嗤って差し上げよう」

あ、スイッチ入ってる。そんな呟きが後ろと足元から聞こえたが無視。草壁さんからも聞こえたけど無視。サワダさんと牛柄の少年は顔を引き攣らせて、目の前の銀髪忠犬は怒りで震えている。ざまぁ。藍色南国果実とボルサリーノの少年は面白そうに、黒髪のオニーサンは「ははっ、すげーのな!」と能天気に笑っていて、白髪のオニーサンは「極限――!!」とか何とか叫んでる。…頭大丈夫かな。群れ嫌いの財団長は当然いない。

「ユウキさん、自己紹介「やだ」…」
「テメェいい加減にっ、へぶぅ!?」
「「「……」」」

ダサッ。殴り掛かろうとして見事にすっ転んだ銀髪忠犬を見て、此処にいる全員が一致した言葉だと思う。原因はナイトが彼の影に移動して足を掴んだから。ナイスだ。

「クフフ…お久しぶりですねぇ、ユウキさん?」
「……あ、あー。あの時の藍色南国果実か」
「…六道骸ですよ。今日はあの生き物達はいないんですか?あの異形な“化け物”…!?」
「ナイト“ドレインパンチ”、アルトは“ドラゴンクロ ”」

――バキッ、ドガッ!!
急に溢れ出た殺気のせいだろうか。地雷を踏んだカスは急に姿を見せた二体に反応出来ず見事に吹っ飛ばされた。倒れたそいつの腹を思いっ切り踏み付ける。周りは、家族がいて手が出せ無いから警戒するだけ。“私”を知る二人は苦笑している。何か凄くムカついたから踏み付ける力を強める。カスは苦しそうに呻いてる。地雷踏んだこいつが悪い。

「おいカス。君、あの時私がキレてた所を傍観してたんだから何でこんな目に遭ってるか分かってるよねぇ?あの子達もこの子達も大切な家族なんだよー?それなのに私の“誇り”を貶すなんて、君はよっぽど死にたいらしいねぇ?」
<――フウゥ(――ユウキ様)>

静かにナイトに呼ばれて動きが止まる。目を向けると「もういい」と言っていて。アルトにも視線を向けると、周りの連中に警戒しながらもそう思っている様で。さっきの一撃でスッキリしたのと、私と、こいつ等に気遣っているのが分かり怒りが萎える。まぁ許した訳じゃ無いけど。

…もうそろそろ帰りたいな。自己紹介したら帰してくれるのでは?アルトと心で会話する。…なるほどね。さっさとやって帰ろう。

「…名前はユウキ。性別は女。歳は…忘れた。多分貴方達とそう変わらない。現在風紀財団に居候している。けど“居候”だから裏社会の人間じゃ無い。そこは覚えておいて。…この子達は“家族”で“誇り”だから貶す様な言動したら藍色南国果実より酷い目遭わすよ。さっきので十分理解したよね?次は今言った言葉を思い出させる為に頭かち割って脳味噌引き摺り出すんじゃないかな。――これで良い?サワダさん」
「……あ、う、うん。いいよ」
「じゃあ帰る。…失礼しましたー。――アルト、ナイト」

呼べば姿を見えなくして傍に寄る。草壁さん、財団とボンゴレの行き来の為だけに使ってごめんなさい。ずっと空気にしてた事に罪悪感(←そこかよ)。…ああ本っ当にムカつく。帰ったらチビッ子達に構って心を癒して貰おう。

  〜Sawadaside〜
「ゲホッ…何なんですか、あの女は!」
「…物凄く怖かったです」
「ははっ、すげー奴だったな!」
「極限に勝負したいぞーー!!」
「十代目!あんな奴とお茶飲んでらっしゃるんですか!?」
「うん」
「なっ!!」
「…おいダメツナ」

あいつは何なんだ?ニヒルに笑って問う。
リボーンを始め、一部を除いて全員が興味を持っている。でも、全部は言えない。言っても信じるかどうか怪しいし、ユウキさんも言わなかったから。だから皆が知ってる事を繰り返す。

「彼女も言ってたでしょ?“風紀財団の居候さん”だよ」
「そうじゃねぇ。あの生き物、あの殺気。どう考えても只者じゃねぇだろ」
「…彼女の言った事に嘘は無いよ。それに怒らせたのは骸が悪い」

ユウキさんが言った様にあの生き物達は彼女にとって“家族”で“誇り”。ユウキさん曰く彼女は家族愛主義者でね、誰よりも彼等を愛し、誰よりも彼等から愛される人なんだ。彼等を貶すと彼女はキレるし、彼女に害を与えるなら彼等はそれを全力で潰しに掛かる。…皆からすれば“温い考え”かもしれない。けど、それが彼女達の“強さ”なんだ。

「極限に良い話ではないか!」 「そっすね!」
「ケッ…」 「「「………」」」

お兄さんと山本は感動していて、それ以外はバツの悪そうな顔をしてる。そんな中リボーンは笑ったまま眼がキラン、と光った。あ、嫌な予感が。

「おいツナ、そいつボンゴレに勧誘するぞ。“ファミリー思い”でピッタリじゃねーか」
「「「!」」」
「残念、もう断られたよ。理由は『ムカついて殺したいと思った奴なら兎も角、興味の欠片も無い人間を殺したり、何十枚も書類を書かなきゃなんないなんて最高に面倒くさいから却下』…だって。さて、ユウキさんも帰っちゃったし俺達も解散しようか」

親友と、対面

その後、ユウキさんが荒んでる理由を訊いた雲雀さんが骸を鼻で嗤ったという。

<叶亜さんへ>
副題「夢主のマシンガントーク」。…夢主とてつもなく口悪い。チビッ子達と気持ち良く昼寝してたのに叩き起こされて超不機嫌だったという裏設定。更に前日の夜は夢に、異世界に吹っ飛ばした張本人が「まだ帰せない。下手すると一生そこで生活かも」的な事言って寝た心地無かった…らしい。
文字が沢山あって読みにくいかもしれません、ごめんなさい!!絶対間違いや日本語可笑しい所があると思うので指摘して下さい。長い駄文を読んで頂き、有難うございました!!