(※メランコリック続編)



「雪代、」

「雪代ちゃん、あのねっ」

「…よかったね、おめでとう」

手を繋ぎながら私の前にたった二人に微笑と喜びの言葉を贈る。
内心、そんな事思ってもないくせに

「へぇ、よかったじゃない、おめでと」

「ああ、ありがと」

「えへへ、雪代ちゃんのおかげなんだよ!
 告白してみたらって!」

照れたように笑う彼女と彼から顔を反らす。
付き合ってしまえば、楽になれると思ったのに。
なんなの、これ。
気持ちが全然、落ち着かない…。

「…へぇ、そうなの。」

「ほんとにありがと!」

「、そろそろ行かなくちゃ。またね!」

これ以上、彼等の幸福な姿をみたくなかった。
最低だ、私。振り返りもせず家まで駆け抜く。
校門を過ぎたところで腕を掴まれて振り向かされる。

「…あ、れ。兄さん、?」

「…お前、何で泣いて」

「…どうしたの?」

久し振りにあった従兄から顔を反らす。
埃が入ったの、とか嘘だってばればれじゃん。
心配そうな顔を切り替えて睨んでくる。

「こい」

腕を思い切り引っ張って、私の前を歩く。
少しだけ歩いて、壁に押し付けられる。

「何があった?」

「…うわあああっ」

ばか、と何度も呟いた。
なんで私の気持ちに気付かないの、ばか
あの子もなんで私があの人をすきって気付かないの、ばか
なんで協力しちゃったのばかな私
いつになったら涙がとまるのよ、ばか

「…そっか、」

抱きしめて背中をぽんぽんと叩いてくれる従兄に甘える。
だって、だって、二人とも好きだったんだもん、
私にどうしろっていうの




目が赤くなる頃、イチゴミルクを買ってもらう。
あーあ、私もコーヒー買ってもらえよかったな。
そうすれば苦い恋だったって忘れられるかもしれないのに。
そんな、夢みたいなことを思う。
スチールの缶を目に当てて冷やす。

「…冷た」

「当たり前だろ。
 にしても、ばかな奴。」

「知ってるよ、」

イチゴミルクは甘くて吐き気がした。
少し温くなって喉に絡む。
それだけでまた泣けてくる

「…そんな恋、しなけりゃよかったのにな」

「うん、っ」

「初恋は実らないんだってよ」

「初恋じゃないしっ…」

そういうとけらけらと笑って、じゃあ次は叶うんじゃね?って言う。
ばーか、次の恋も実らなくてまたそういうんだよ

「絶対に、成功する恋愛教えてやろうか?」

「…は、?」

なにを、と思った瞬間に苦味が口に広がる。

「…え?」

「うわ、間抜け面。」

「ちょ、え?は?」

「知ってるか?
 従兄妹は結婚できるんだってよ」

ニィっと笑った従兄に目を見開く。
え?ちょ、え?
…どうしよう、私ほんとばかだ。
失恋を忘れるなら新しい恋。
なるほど、先人は上手くいったよね。
その背中に抱きついて、



20110724

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