くすり、少女は笑った。
ねぇ、花音様。
花音様はオヒメサマですよ。
私という偽りの犠牲の上に成り立ったオヒメサマ。
ご気分はいかがです?


うふふ、少女は笑った。
本当、依のおかげだわ。
あなたのおかげで私はオヒメサマなの。
私は彼等にとってのオヒメサマ。
気分は最高にいいの。


うふふ、少女は笑った。
あら、花音様のお役に立てました?
そう、花音様はオヒメサマです。
彼等もお馬鹿さんですね、こんな単純な演劇にダマされるなんて。
花音様のご気分が良くて私も嬉しいです。


くすり、少女は笑った。
役に立っただなんて…勿論よ。
あなたがいなければ私はただのトモダチだったんだもの。
お馬鹿さんなんて言ってあげないでちょうだい。
彼等は私のオウジサマなの。


幸せそうに、少女は笑った。
ありがとうございます、花音様。
そうですね、本当によかったです。花音様以外にオヒメサマなんて必要ありません。
あら、花音様?彼等はお馬鹿さんですよ。だって、こんな簡単で分かりやすい演劇のオウジサマなんですもの。気づいていないんですから笑ってしまいます。
そう、彼等は全員オウジサマ。自分だけが特別だと信じきっているお馬鹿なオウジサマ。
花音様も酷いオヒメサマ。


あくどく、少女は笑った。
そう、私以外にオヒメサマなんていらないの。私がオヒメサマよ。
そうね。笑ってしまうわ。お馬鹿さん。
そうよ、そう。彼等は私に使えることを喜ばしく思っているの。好きに使われているともしらないで。
私は酷いオヒメサマ。そうよ。私は酷いの。


ふふ、もう。花音様ってば。


ふふ、依。本当にありがとう。


あら、もう時間ですよ。花音様。
彼等が迎えに来ますよ、オヒメサマをお迎えに。


あら、本当ね。


ほら、きました。ああ、顔を顰めていますね。私がいるのが気にくわないんでしょう。


何様のつもりかしら。私の依を嫌うなんて。


花音様、どうぞお気をつけて。


ええ、一演技してくるわ。



とある逆ハー少女と悪少女の会話にて。




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