「えっとー、ココアをひとつ、エスプレッソをひとつ、紅茶をふたつお願いします。」

「はい、かしこまりました。少々お待ち下さい。」

In近くの喫茶店。
四人でぞろぞろと入って、気になるものを注文した。
ココア最近飲んでなかったんだ。

「さて、存分に言い争いな。」

「ちょ!そんな」

そんな簡単に済むなら喫茶店なんて入らなくてもいいじゃん、!

「あたしのこと無視しまくってたくせにどうしてくるのよ!」

「父さんが迎えに行けって。」

「やっぱり!昔っから思ってたのよ、紗月はパパの言うことに従うことしかしないって。」

「っそんなの、当主の言うことに従わないわけにいかないだろ。」

…。……………。…………………………うん。
話し合いできるならなんで喫茶入ったの…?!
Why(ほわい)?!Perché(ぺるけ)?!Pourquoi(ぽるくわ)?!

「英語にイタリア語にフランス語を続けなくていいから。
 だって、僕達この馬鹿二匹の痴話喧嘩に付き合って立ってなきゃいけないんだよ?
 そんな体力を消耗するようなことしたくないね。」

「ワーオ読心術。もう慣れてきちゃったよ?
 ああそれはたしかにめんどくさいねえ…。」

もう読心術だとか侵害だとか気にしない。
うん。結婚してもう半年も経つんだ、慣れようじゃないか!慣れたくないけど!めっちゃ慣れたくないけど!
うん、既に旦那が二人のことを動物扱いしてることも気にしない。
言い争う二人の隣でのほほん、ココアうめぇ…。
旦那のコーヒーを少し奪って(睨まれた?あはん気にしない!)口をつける。
ぐっふあ苦い、苦い苦い。
ココアを急いで口に含んで緩和させる。

「わかったわよ!一回だけ帰る。
 だけどね、いい?あたしが折れてあげたのよ。」

「ハイハイ、いいから帰るぞ…って…あ、飛鳥君とわかれなきゃならないのか…っ!」

「ハッ…雪代ちゃんと、離れる…?!」

「「いいから帰れお前ら。」」


=====


「…行っちゃったねえ。」

一瞬だけ光って、そして消えた魔法陣があった場所をみつめる。
複雑なそれは使ったら消えてしまう。
まあ、見えなくなるだけで存在はしているのだけれど。

「静かになる。さ、僕達も帰るよ。」

「え?お買い物済んでないよ…?」

「…え?」

「まだ生活必需品買い終わってな…」

にらまれた。
やだああああもうこっわい。
でももう気にしない!気にしないんだから!

「…死ねよ。」

旦那の目が細まったかと思うと、含んだ笑顔。
これは、やばいのかもしれな、いやでも気にしないっていったばっか…
いった!爪先に打撃。
ブーツの踵で、爪先を踏まれた。女か!!!

「さあ、帰ろうか」

「…ハイ」

忘れていた恐怖政治。
まあ…うん、命は大事だしね…
タオルは今度にしよう…。

(20120731)

更新すごい久し振りな気がする、じゃなくて久し振りですねはい。
って、え!?7ヶ月ぶり?!うっそん!
まあこれで一先ず伊代兄妹編はおしまいとなります。
次どうしようかなあ…「ぬ」教の勧善懲悪劇でもやってみようかなあ…ううぬ…


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