「…どこだよここ。」

「…は?」

「つか、お前誰?
 何他人のベッド入ってるわけ?」

青年はぼんやりとした顔で不機嫌な声を出す。
あっれぇ、顔はいいのに…!カオハイイノニ!

「っあ?あー、ん?」

「え、あ、え、」

「…君こそ何なわけ?ここ、僕の家なんだけど。」

「…え?」

「ほんとにさぁ、君誰なわけ?
 誰の許可を得てこの世に存在しているわけ?」

「…言い過ぎじゃあ…」

「何か言った?雪代。
 僕は君がこの家に入るのを許可した覚えはない。」

なんか私まで怒られた…!
旦那はまだ続ける。

「あーあ、早く消えろよこの虫螻。」

「ちょっと、それは」

「僕忙しいんだけど。
 外に森がある。
 そこまで送らせるから帰れ。」

「…もしかして、」

「…何かな。とっとと出てけって行ってるんだけど聞こえない?」

旦那に対して目を見開き声を震わせる青年は、旦那を知っているようだった。
て、あれ、私ヒロインだったよね?主人公だよね?あっれぇ?

「飛鳥君…?」

「…なんで、?
 …!も、しかして…」

「覚えてる?俺だよ俺!」

「紗月…?!」

あっれぇ、どうやらお知り合いだったようですね!
つかねえ、無視?無視なの?蒸しパン食べろってこと?え?

「…雪代、医者を呼ぼうか」

「…お願いします。」

「何科がいいかな」

「ブロークンハートを癒すためにイケメンさんがいるところで。」

「え、ここにいるんだけどみえないのかな」

「…ごめん、私には魔王にしか見えない」

「…間違ってないけどね。」

旦那が諦めたように息を吐く。
私も溜息吐きたい。
…イケメンに会いたい。
…私はイケメンになりたい。

「…嘘だけど」

「だろうね。」

「…で、この女誰?」


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