「ただいまー!」

私は今、実家に帰ってまーす!
なっつかしぃー。

「…あら?雪代?」

「…母さん?」

「なんでいんの?」

「帰省」

「ああ、そうなの。
 ゆっくりしていきなさいねー」

She is my mother.
なにやってるんだって?“彼女は私の母上です。”を英文にしてみただけ。意味はなし。

「母さん、部屋は―」

「そのまんまにしてあるわよ。二階の一番奥」

「ありがとー!」

懐かしい、ホントに。
階段を駆け上がりながらそんなことを思う。
昔はなんとも思ってなかったけど、今となっては別。
この階段の長ささえいい。丁度いいのだ。
やっぱり、この家で育ったのだ。
二階の一番奥の部屋の扉のノブを回しながら押す。
私が家を出たときと全く変わってない部屋が視界に映る。
ベッドに駆け込むと仰向けに寝る。
変わってない、何もかもが。

実家は今の魔王城から二日と少し。
長旅を終え、疲れきった体は柔らかな感触に身を許している。
眠れ、と言っているように思え、私は瞼を閉じる。
心地良い眠りに誘われ、私は意識をシャットダウンした。


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