とある日の南葛高校
「・・・よし、後はこれを今日タケシに送るだけ・・・」
新田少年がニヤニヤと眺めていた、何も書かれていないDVD。
これが今回の騒動を巻き起こすことになる。
「お？新田何見てるんだ？」
「げ、浦辺先輩！？」
「げ、とはなんだ、先輩に向かって・・・ん？」
浦辺は新田の手元にあるDVDに気がついた。
好奇心旺盛な高校生たちである、そのDVDをただで見逃すわけがなかった。
「・・・お！？これもしかして新田の秘蔵ものか！？」
「違・・・っ！？」
「ん〜？なんだ・・・・おお！？」
「何やってんだ二人共・・・って、これは！！」
浦辺が騒ぎ始めると、石崎や来生が集まり始め、皆DVDに釘づけになった。
「おおお！！これってあれだよな！？」
「新田が持ってきてたんだって！？お前も好きねえ〜」
「ち、違います！！これは・・・！！」
ニヤついた石崎に向かって新田が赤面しながら叫ぶと、更にもっとニヤケた浦辺がが口を出した。
「これは・・・？なんだよ、言ってみろよ？」
「う・・・」
（せ、先輩たちには絶対に言えね〜よ！？しまった・・・持ってくるんじゃなかった・・・）
他のメンバーにも言い寄られ、タジタジになる新田。
だけど決してDVDの内容については口を割ろうとしなかった。
「まあ、新田ももう高１だしな！持っててもおかしくねえよ」
先輩ヅラしながら来生がいい、その後ろで滝も頷いていた。
新田は違うのに・・・とは思いつつ、段々疲れてきて反論する気も起きなくなっていた。
その間、他のメンバーの間でそのDVDが回されていた。
高杉はその光景を遠くから羨ましそうに見つめていた。
「・・・！そうだ、俺いいこと思いついた！！」
「なんだよ来生？」
「これ、井沢のバックに入れとこうぜ？」
「おお！そりゃ面白そうだな！」
井沢といえば・・・あまり石崎たちに混じってそういうトークはしない。そして皆で見ているDVD鑑賞会なども全く参加しない。影で石崎たちは「やっぱもてる奴は実践できるから必要ねえのかな？」とか話していたが・・・
そんな井沢のバックにこっそり来生はDVDを入れた。
石崎たちはニシシ・・・と楽しそうに笑っていた。もうひとり離れて見ていた森崎は別の方向を見てビクリと震えていた。新田はひたすら落ち込んでいた。
と、そんな時であった。
「・・・何やってるんだ？面白そうだな、なあ・・・岬？」
とても冷たい空気がその場に流れ込んだ。
皆一斉にそっちをみると・・・井沢と岬が入ってきた。
井沢の目は完全に座っていた。ひぃっと部屋の中に悲鳴が起こる。
「・・・俺のバック、何勝手に開けてるんだ？なあ・・・来生くん？」
「・・・い、井沢・・・落ち着け・・・」
「・・・いくら幼馴染といっても、やっていいことの限度があるくらい・・・わかるよな、滝？」
「・・・お、俺は知らない！来生が・・・！！」
「ちょ！？おま・・・！！俺に押し付けんな！？」
「だってお前が最初にいったじゃねえか！？」
お互いに責任を押し付け合う幼馴染二人。その間にも井沢の標的は石崎と浦辺になっていた。
「ひ！？こっちくるな！！」
「い、石崎！？何人の後ろに隠れてんだよ！？」
「キャプテン・・・俺さ、今機嫌悪いんだよな？シュート練習付き合って欲しいんだけど？」
「「ひいいいいい！！？」」
そう言って二人は部屋から逃げていった。
他の周りに居たメンバーも、新田を残して皆部屋からいなくなっていた。
「・・・たく。」
「あはは・・・井沢やりすぎ。」
「だって人のバック勝手にあけてるんだぜ？」
はあ、とため息を吐きつつ新田にDVDを差し出した。
「・・・え？」
「これ、おまえのだろ？まあ何のDVDかは聞かないけど・・・あんまりこういうもん学校に持ってくるなよ？」
「・・・は、はい！」
新田は嬉しそうにそのDVDを受け取っていた。
そんな姿を岬と井沢は笑って眺めていた。
その夜。
プルルルルル、ガチャ。
「はいもしもし？」
「あ、タケシか？俺、新田だけど。」
「あー！新田さん！」
「この前の佐野が編集してくれたDVD、今日お前んとこに送ったから！」
「本当ですか！？うわあ・・・楽しみ！！」
「かなり面白かったぜ？２年前の映像だけど」
「佐野さん編集うまいからなあ・・・」
「かなり笑いまくって腹筋痛くなったくらいだから！あんな先輩たちをよく佐野も隠れてとってたよなー！！ジュニアユースの最中だったのに。」
「早くみたいです、珍プレー好プレー集」
「絶対先輩たちには見せらんねえけどな」
「はい、これは日向さんたちがみたら確実に殴られそうです。」
「・・・俺たちだけの、秘密な。」
「はい！」
そう言って元気よく電話を切った新田とタケシであった。
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最近南葛キャラの話が好きです(笑)
井沢のせいだ(笑)
これが中学編でもいいですね♪
ただ翼が出てくるので、もっと話の内容がカオスになりそう(笑)
今回は新田くんが学校に持ってきた秘蔵DVDのお話でした。
ちなみに井沢はそんな清らかではないと思います(笑)
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