あした天気になあれ
部活の今日の分の日誌を書き終え、部室の外が先程よりうるさいことに気がつく。
窓を開けて外を眺めてみると・・・
「・・・やっぱり・・・」
雨が降っていた。
この時期は梅雨の時期だもの、しょうがない。そう思いつつも雨の中帰らなきゃいけないことにため息をつく。
でも、梅雨の時期は嫌いではなかった。
この時期が来ると、もうすぐ松山くんの誕生日が近いことを知らせてくれる。
(今年は何をしよう・・・?)
松山くんの喜ぶ顔が見たくて、いつも悩んでしまう。
そんな時間を過ごすのは、嬉しい。だって私は中3で一度みんなの元から離れたんだもの。
その時に松山くんのハチマキにこっそりと縫い付けた自分の想い、まさか気がついてくれると・・・しかも、空港まで追いかけてきてくれると思わなかった。その時に切れると思っていた繋がりは想いを告げる前よりも深くなって・・・高校入学と同時にまたふらのに、松山くんの元に帰れることが決まった時は本当に嬉しかった。戻ってきた時に松山くんに告げられた「付き合おう」という言葉。今でもその時のこと、覚えている。
それから松山くんの誕生日にプレゼントするようになって、今年で3年目。
(もう、そんなに経つんだな・・・)
時が経つのは早いと感じてしまう。でも、その間もずっと一緒に居れたことは本当に嬉しく思う。
ちょうど今、その松山くんの帰りを待っている最中だった。今は顧問のところに鍵を返しに行っている。
そのまま雨を見つけていてもしょうがない・・・そう思い、机の方に戻ると・・・
(・・・あ)
ティッシュペーパーが目に入った。
そういえば、松山くんの誕生日の次の日は練習試合だった気がする。せっかくの日だ、晴れて欲しい。
そう思って目の前のそれに手を伸ばす。
(まだ来ないから・・・いいよね?)
***
無心になって作っていると、ガチャリとドアの開く音が聞こえた。そちらを見ると松山くんが戻って来ていた。
「悪い!待たせちまって・・・」
そう言いながら申し訳なさそうに頭を掻いている。そんな松山くんに対して、首を振った。
「いいの、逆に全部任せちゃってごめんね?いつもありがとう。」
そう言って微笑むと、松山くんは笑ってくれた。
「・・・ん?」
何かに気がついたのか、私の手元を見て首をかしげていた。
「・・・ああ、これ?」
「・・・ん、ああ、懐かしいな。」
そう言って一個手に取る松山くん。
私は子供っぽいとか思われてるのかな?と少し焦った。
「俺も昔のこの時期に試合前、よく作ってたなー、てるてる坊主。」
そう、私が無心になって作っていたのはてるてる坊主だった。だって、やっぱりサッカーが好きな松山くんのためだもの、試合の日は晴れて、あの楽しそうな顔を見たいと思ってしまう。
「・・・ぷっ、これ小田だろ?」
「あ、わかった?」
私はふらののメンバー11人分を作りたいな、と思ってせっせと作っていた。今、5〜6人分くらいがやっと出来上がったところだった。
「俺のは?」
「?」
「俺の分は・・・?・・・ないのか?」
その声に松山くんを見ていみると、ちょっと不貞腐れていた。そんな部分を可愛いと思いながら、松山くんの分を差し出した。
「これよ、・・・ごめんね、似てなくて。」
「おお!」
それを取ると嬉しそうにしていた。私はそんな顔を見れて嬉しいのと、見せるのがやっぱろちょっと恥ずかしいのと、複雑だった。
「俺、こんなにかっこいいか?」
「・・・え?」
「だって、小田より格好良くないか?」
そう言って小田くんに似せて作ったてるてる坊主と何度も比べてみていた。そんな子供っぽい部分ふがおかしくてつい笑ってしまった。
「・・・よし!俺も作る!」
「え?」
「俺、美子の分作るから・・・隣に飾ろうぜ。」
そう言って「な?」と言って微笑む松山くん。思わず顔を赤くしてしまった。
恥ずかしいけど、嬉しいな。
そう思い、少しだけ頷いた。
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原点に戻って、松美を書いてみました!
やっぱり雨の時期は何故か書きたくなります(笑)
てるてる坊主を一緒に作るとか、そんな学生ならでは(?)のネタをやってみたかったです!
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