だんだんと近づいてきたバレンタイン。
今年こそはあの人に渡したくて練習でいろんなチョコを使ったお菓子を作っていた。
「(でも、もらってくれるかなぁ・・・。すごい人気だもんなぁ、ユーリさん。きっといろんな人からもらうんだろうな・・・)」
あまったらどうしよう・・・。やっぱりデッドくんや女将さんにお裾分けかな?あぁ、その前にこの練習用に作ったやつをどうにかしなきゃ・・・
と、考えながら手を動かしていると
「よそ見してるとボールの中に水入るぞ」
と声がしてあわててボールを持ちなおした。
・・・ん?声?
不審に思い声のする方を見てみるとそこにいたのは
「!!??ユ、ユーリさん!?」
下町の有名人、ユーリさんでした。
窓の枠に肘をつき、少し乗り出してこちらを見ていた。
そして、よっ、なんて言って手をふっていらっしゃる。
「ど、どうしてここに!?」
「ん?帰る途中に甘いにおいがしたからなにかと思ってな」
明らかに動揺してるとわかるくらいどもっている私。
それに比べていつものように話すユーリさん。
わわわ、話しかけられた・・・。今までは話すって言ってもあいさつくらいだったからな・・・。
「なぁ、何作ってんの?」
「えぇと、バレンタインの練習で・・・、って、え?」
すぐそばで声が聞こえた気がして振り向いてみると案の定ユーリさんがいた。
・・・いつの間に?
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