魅上「…竜崎、その格好は何だ。第一ボタンまできちんと留めろ」
竜崎「…………(留めない)」
魅上「シャツはどうした? 着てこいと昨日も言っただろう」
竜崎「…………(ナナからポッキーを一本もらう)」
魅上「竜崎。聞いているのか?」
竜崎「……(ポキッパリボリ)…聞いてます」
魅上「…なら何故留めない?」
竜崎「…………(バリボリ)」
ナナ「…魅上くん。竜崎はこの学校を支配してて、校則違反な格好でも許されるというか…」
魅上「それがどうした?」
ナナ「…え?」
魅上「校則違反だから注意しているわけではない。見ていて不快だから言っている。このだらしのない格好を見て、君は何とも思わないのか?」
ナナ「……何とも思わなくはない、けど…」
竜崎「!?」
ナナ「だらしないほうが似合うかな、とも思うよ…」
魅上「っ、!」
竜崎「ナナさん…!」
ナナ「…………(少し恥ずかしい)」
魅上「……君に聞いたのが間違いだった…だが竜崎、佐藤さんや教師たちが許そうとも、お前が制服の乱れを正すまで、私は注意し続けるからな」
竜崎「ハァ……わかりました、これでいいですか?(面倒そうに第二、第一ボタンを留める)」
魅上「ああ(満足げに頷く)、これからはずっとそうしろ。そして明日こそ、中にシャツを着てくるんだな……それと、ズボンは自分の身体に合ったものを買え。靴下も購買に売っているから、今から買って履いてこい」
竜崎・ナナ「(あのダサいやつか……)」
魅上「…なんだ、何か不満でもあるのか?」
竜崎「……靴下は絶対に履きたくないんです。特にあの指定の靴下は…」
ナナ「う、うん、かっこよすぎて履けないよね」
竜崎「?」
魅上「…普通の靴下だと思うが……」
ナナ「そうなんだけど、あの校章がかっこよくて…新神に入ったんだなあって実感するから」
魅上「もう二年経つのに、まだ慣れないのか…?」
ナナ「うん、ちょっとね…」
魅上「…………」
竜崎「…………」
魅上「そうか…悩み事があったら、いつでも言ってくれ。少しは力になれるだろう」
ナナ「え…あ、ありがとう」
魅上「(自分の席に戻っていく)」
ナナ「…なんか、要らぬ心配かけちゃったかな。特に深い意味はなかったんだけど…」
竜崎「何故そう言ったんです?」
ナナ「魅上くんはあの靴下を履いてるだろうし、ダサいなんて言われたら傷つくと思って…」
竜崎「いえ、そっちではなく、学校に慣れないと言ったことについてです」
ナナ「ああ…ほんとに、深い意味はないよ。親戚の人たちから会うたびに崇められるから、それが慣れなくて…」
竜崎「…そうでしたか」
ナナ「(…竜崎も、心配してくれたのかな)」


20130921
なぜかしんみり
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