燃え盛る炎、人々の叫び声、聞こえてくる銃声。炎が周りを取り囲み、その熱さに汗が流れ出す。どこか、どこか逃げ場はないのだろうか――。
「ララ、おい、ララ」
自分を呼ぶ声に、目を覚ました。目に入ったのは、こちらを心配そうに見るサンジの姿だった。
「大丈夫か? 随分うなされてたようだが……」
こんなに汗もかいて、と前髪をそっとかきあげられる。ララはサンジの方へ寝返りを打ち、その厚い胸板にすり寄った。
「……こわい夢を見たの」
夢と思えないほどリアルなものだった。震え出すのを抑え、サンジの背中に腕をまわす。頭を優しく撫でるその大きな手に、ララは安心して目を閉じた。
「……サンジ」
「ん?」
「私、どんどんサンジがいないとダメになってく……」
ふっと耳元でサンジが笑う気配がした。
「いいんじゃねェか、それで。おれはもうララがいねェとダメだけどな」
「それは嬉しいけど、でも……」
サンジには夢がある。ここを出て行くべき人だ。
黙り込んだララに、サンジが覗き込む。
「ララ?」
何でもない、と首を振り、一層サンジに抱きつく。この時間がいつまでも続けばいい。温かい体温を感じながら、ララは願った。
20171231
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