翌朝。一睡もできなかったサンジは、カーテンから漏れる光を見て起き出した。隣のベッドで眠るララを見つめる。その寝顔を愛しく思いながら、昨日の夜のことを思い出した。
キスをした後、ララはおもむろに服のボタンを外し出した。驚いたサンジが思わず止めると、ララはこちらを見上げて言った。
「『両想い』になったら、裸で抱き合うんでしょ? 私知ってるよ」
「いや、裸で抱き合うというか、何というか……」
まさかと思い、尋ねてみる。
「……ララ、子供がどうやってできるか知ってるか?」
「え? 結婚したら自動的にできるんじゃないの?」
平然と言うララに、サンジは頭を抱えた。色恋に疎そうだとは思っていたが、まさかここまでとは。身を以て教えてやろうかと思ったものの、付き合って初日にするのは憚られ(何よりララがかわいそうだ)、そういった本を読ませて学ばせようと決意した。
サンジの理性のために、一緒に寝るのをやめ、ララをもう一つのベッドに寝かせた。ララはいろいろなことがあって疲れていたらしく、すぐに静かな寝息が聞こえてきた。そして反対にサンジはまったく眠れず、夜中新しいレシピのことなどを考えていたのだった。
「ララ」
ベッドに近づき、声をかける。ララはぐっすり眠っているらしく、長い睫毛をかすかに揺らしただけで、起きる気配はなかった。
起きて、その美しい瞳で自分を見てほしい。そう思ったサンジは、ララの小さな唇にそっと口付けた。驚いたことに、ララはゆっくりと瞼を開いた。
「……おはよう、プリンセス」
微笑みながら言うと、ララは恥ずかしそうに小さな声で挨拶を返した。顔を隠すように布団を引っ張っているのが愛らしい。今日もクソ可愛いなと思いながら、サンジは言った。
「そろそろ島を出ようか。昼までには戻ることになってるからな」
うん、とララは頷き起き上がる。立ち上がったララを、サンジはぎゅっと抱きしめた。ララの甘い香りが鼻腔をくすぐった。
「サンジ……?」
「昨日は言えなかったが、おれもララのことが好きだ。ララ、おれと付き合ってもらってもいいか?」
順番が逆になってしまったが、言っておかなければならないと思っていた。ララはこくんと頷き、ゆっくりと腕をサンジの背中にまわす。嬉しく思い、さらに腕に力を込めララの柔らかさを堪能する。二人はしばらく、互いの感触を確かめ合っていた。
20171227
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