la mer

「ララ、お前きれーな目ェしてんなァ」

 食堂でお昼の賄いを食べながら、隣に座るサンジと話していると、急に彼が言った。

「そうかな?」

 ララはじっと見られることに慣れておらず、思わず目を伏せる。

「あァ、エメラルドグリーンっていうのか? 緑と青の中間あたりの色してる」

「えー、ただの緑色だよ」

 どうしてだか、目のことについて言われるのは、あまり良い気分がしなかった。

「……サンジも、きれいな青色だよね。金髪もきれいだし、王子様みたい!」

「そうか?」

 ララは褒めたつもりだったが、サンジの反応は思いのほか薄かった。不思議に思いながら、ララは話題を変えた。

「ゼフが……オーナーが、世界の海で料理してきたって言ってたけど、あれどういうこと?」

「あァ、クソジジイは海賊やってたんだ。いろんな海で料理してたんじゃねェかな」

「海賊!?」

 海賊なんて、民衆から略奪する悪い人たちじゃないか。今のゼフからは考えられない言葉に驚くと、サンジは真剣な表情で呟いた。

「クソジジイは、夢を追いかけてたんだ……」

 テーブルの下で拳を握っているのに気づき、ララははっとサンジを見つめる。ララの視線に気づいたのか、サンジはこちらを見て安心させるように微笑んだ。

「……食おうか、メシが冷めちまう」

「うん……」

 再びスプーンを持つ手を動かす。サンジとゼフの間に、何かあったのだろうか。
 担当のコックが作ったまかないは美味しかったが、ララの心中は複雑だった。

20171222

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