真昼の星 | ナノ

あとがき

長々お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
これにて自班「あかねさす」の探索者が一人、安堵天音の1ヶ月間の物語は一度おしまいです。

「真昼の星」というタイトルはふうろが好きな金子みすゞさんの詩、「星とたんぽぽ」からつけました。
《青いお空のそこふかく、海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。》
そこにあるけれど、見えないもの。
見えないけれど、確かにそこにある、大切なもの。

そんな詩からタイトルをつけたこの話で一貫して書きたかったのは「安堵天音の、本人も気づかないくらい深くにある、本当の気持ちを吐き出してみよう」でした。
彼女の根本にあるのは強烈なまでの「誰かに認めてほしい」という思いで、決して夢や希望といった綺麗なものではないということを大切にしたかったので。

語調は明るくて軽快にするように意識しながら、話している内容は自己卑下をちりばめて。
友達が大好きで尊敬していて、そんな友達と自分を比べて悪いところばかりに目をつけて。
安堵天音という人物はそういう、まっすぐなくせに捻くれたところを多分にもつ女子高生でした。

§2で天音が言った「結局自分に答えをくれるのは自分しかいない」という言葉を大切にしたかった。
自分で悩んで、不器用に傷ついてほしかった。

でも傷ついたままだと壊れてしまうから、誰かの言葉を糧にして何度だって立ち上がってほしかった。

もういやだって投げ出してもいいんです。
本当に進路のことを考えたくないならやめればよかった。
やめなかったのは天音のわがままで、私のわがままでした。

この話は夏代孝明さんの「ユニバース」が裏のテーマでした。
これは、安堵天音の物語で、彼女が何かを感じたならそれが物語の理由で、走りきることができるのも彼女だけ。
きっとこれから彼女はいっぱい悩んで苦しんで、そのたびにゆいつんやかげちゃん、なるちゃんここちゃんの手のひらの感覚を思い出して奮起するのでしょう。

高校生という多感な時期の女の子を書く難しさはありましたが、結局ふうろ節全開のもだもだ感で強引に持っていった感じは否めないですね。
もっともだもださせてよかったかも……。

最後になりましたが関係者の方々にはどれほど感謝してもしきれません。
KP、PL、観戦の皆さん。
誰がいなくてもこんな楽しいセッションにはならなかったし、卓後SSの作成・掲示を許可していただけたことも含めて本当に感謝しています。
なにより、こんな素晴らしいシナリオを作ってくださった懐中アクアリウム様に心からの感謝を。

全人類「あかねさす」履修してくださーーーーい!!!!!



2019/05/31
蒼井ふうろ

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