あのときはこんなことになるとは思わなかった。



「よーっし、今日はマックかどっかに寄ってから帰ろうぜ!」
「オレパス」
「なーんで!要っちつれねーな!
「テストまで1週間しかねーのにお前らと雑談してるヒマなんかねーよ」
「うっ、テストなんてそんなものがこの学校にはあったのか!」
「この学校じゃなくても普通はあるでしょ」
「あ、じゃあ要の家でみんなで勉強するっていうのは?」
「却下」
「ゆうたんってばまじめっ子ー」
「だって千鶴いつ勉強するの」
「うー…帰ったらやるってー」
「いや絶対何もしないでしょ」
「ゆっきーまで…」
「でもいきなり押しかけたら迷惑になるんじゃないですかね…?」


期末テストが近づいたある日。
他愛ない話をしながら歩いた帰り道。
寄り道をしようという千鶴と断る要、厳しい双子のツッコミにやんわりとフォローをする春。


「危ない…っ!」


祐希にはそこから先のことがスローモーションの映像のように見えた。
急に腕を引っ張られ尻餅をつく。
悠太の頭をサッカーボールが直撃する。
悠太が倒れる…


「悠太っ!」


倒れた悠太は意識を失っているようだった。


「早く病院に連れて行かないと…っ」




医師から命に別状はないと聞かされ、一同はほっと胸を撫で下ろした。
まだ意識の戻らない悠太が横たわっているベッドの傍で4人は悠太を見つめた。

どのくらいそうしていただろう。
悠太が小さく身動ぎをし、目を開けた。


「悠太!!」
「ゆうたん!」
「悠太!」
「悠太くん!」
「よかったぁー…」
「心配したぞ悠太」
「本当によかったです」


口々に悠太の名前を呼び、悠太を見つめた。
祐希は黙って悠太を抱き締めた。


「悠太…?」


そんな中、祐希は悠太の異変に気が付いた。
意識が戻ってから悠太は一言も喋っていない。
祐希は悠太を離し、向き合う。
悠太の口から零れた言葉に、その場が凍りついた。




「あの…君たちは…誰ですか…?」





----------

2012.09.30


[ 1/6 ]

[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -