ミルクチョコレート




「ゆうたのスケベ」


帰ってきて最初の一言がそれだった。





「ちょっと祐希くん。お兄ちゃん何もしてないと思うんですけど」
「したもん」
「何を」
「……」


部活をして帰ってきたら部屋には祐希がいて。
顔見るなりスケベってどういうことですか。
何でそんなこと言われなきゃいけないんですか。


「ね、オレ何かした?」
「……」
「ね、ゆうきくーん」
「…チョコもらってる…」
「チョコ?」


少し考えて、納得。
今日はバレンタインだ。
確かにそれなりにもらった…かも。


「高橋さんとか、他の子からもらってるじゃん…」
「高橋さんのはクラスのみんなに配ってるやつだって…それに祐希だってもらってるじゃない」
「うわきもの」
「ちょっと…」


バレンタインにチョコもらっただけでスケベ呼ばわりは困るんですけど。
だいたい、その理屈で言ったら祐希だってスケベじゃないですか。
そして浮気者ってなんですか。


「祐希が教室でそういうこと言うから誤解を招くところだったよ?」
「知らない」
「知らないって…」
「悠太が悪い」


そんなこと言われましても。
あーあ、拗ねてるよ…
こうなった祐希はめんどくさい。
しょうがないな…


「…悠太?」


鞄の中を探す。あった。


「はい、あげる」
「…何これ」
「チョコレートです」


はい、と言って渡したのはコンビニで買ったミルクチョコ。
これで機嫌直してよ。


「ホントにくれるの?」
「うん」
「ゆうただいすき」


たったこれだけで、祐希の機嫌は元通り。
さっそく袋を開けて食べてる。


「ねぇ悠太知ってる?
買ったチョコでもね、悠太がくれたっていうだけですごくおいしくなるんだよ」
「そうなの?それはよかった…です」
「あげる。食べてみて」


ん、と言って差し出されたチョコ。
それをもらって食べる。甘い。
機嫌の良くなった祐希を見て、たまにはこういうのも悪くないかなって思った。



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祐希くんのスケベ発言は君僕の中で理不尽なセリフ1位です、個人的に(笑
悠太くんが好きすぎる祐希くんが好き


2012.02.29

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