「っくしゅん」

うーさみぃ!
冬って嫌いだ。だって寒いじゃん。
鼻寒くて赤くなるし、痛くなるし。
そんな寒がり冷え性な俺は、いつもマフラー手袋常備。
特にマフラーを忘れると、風邪をひく。

「あっれー!丁度いいところに高谷がいるー!」

嫌な声が聞こえた。
この声はクラスの女子、村岡…

「知らない知らない俺は知らない誰も見てない」
「おいおいおいおい、何言っちゃってんの?…あ、いいの持ってんじゃん!」

いやいやいや、何してんの!
村岡は俺の大事な大事なマフラーをとって自分に巻きつけようとしている。
ヤ メ ロ ! !

「返せよ!」

そう言って奪い返すと、村岡はまたもや取ろうとする。
俺は必死に引っ張る。
村岡も必死に引っ張る。
そうしている内に、

「(アレ?なんか…二人マフラー状態なんだけど…)」

そんな状態になってしまって、どうしようかと思って隣の村岡を見ると、俯いていて、耳は真っ赤。
…うあ、可愛い…
俺、不覚にも、村岡にトキめいた。

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「アレ?村岡?」
「あ、高谷…」

あ、顔そむけられた。
なんかちょっとショック。
今日は友達が6人くらいでクリスマスパーチー的なのやろーぜ企画にノって、友人宅に来ている。
こたつを囲んで鍋パーチー。
どうやら、主催者のカップルが友人達を呼んだらしく、カップルの女子、村岡、その他女子とカップルの男子、俺、笹田という男女の組み合わせだった。
まぁ、カップル以外は合コン状態に等しいけど、みんな一応顔見知りだった。
村岡にはあの帰り道以来、話しかけられず、話しかけもせず。
まぁ、二人マフラーの状態のまま、村岡の家まで送って帰った(案の定風邪ひいた)から気まずいけど。
反対側にいるのは文句言わないよ。
だけど、挨拶くらい交わそうぜー村岡ー…

「あっれー高谷きゅん飲んでなーいのー??」

カップル男子…多田がうざく絡んできた。
飲んでねぇよ、いつの間に出来上がっちゃったんだお前は…

「も、無理…食べれないよ…」

笹田もダウンですか、寝ちゃってるよもう既に…
他の女子もちょっと眠たそうだ。
村岡は…飲み続けている。

「ねぇ、あたしらちょっと寝てきていいかな…?」
「おー分かったー寝てこい寝てこい」

カップル女子が多田を連れて部屋を出る。
結構太めの笹田は起こして水を飲ませたら、俺も部屋借りてちょっと寝てくるとか言ってこの部屋を出た。
あんま知らないけど、もう一人、クラスの女子は村岡に引き止められながらも親に怒られると言って迎えを呼んで帰った。
絶妙というか、すげぇタイミングで二人っきりになった俺と村岡。
こたつの反対側にいるので、村岡とは向かい合った状態だった。

「村岡、お前そんな飲んで大丈夫なのか?」
「……」


おい、シカトか。
しゃーない、俺も飲もう…。
酒は強い方だと自負している俺。
チュウハイだけじゃ酔えない。(←)
でも、とりあえず飲み続ける。
てか、空いてる缶全部ビールとかじゃん。
あいつら弱すぎだろ…

「…たかやはさ、」
「うん?」

うお!村岡が話し出した!!
奇跡だ!!!(←)

「たかやは…わたしのことすき?」

…いや、あの…What??
どうした村岡御乱心か!?
二人マフラーの件で村岡にトキめいた俺は、意識して村岡のことを好きになっては…いた。
ただ、村岡とそういう関係は望めないだろうと思っていた。
だって村岡、普段男なんだもん性格が。

「え、えっと」

ちょっとね、みなさん聞いてくださいよ!
村岡の状態、やばいんですよ!
顔は酒で赤くなってて、目になぜか涙溜まってて、ちょい上目遣いで…
そんな姿、キュン死にするだろーが!

「(惚れてまうやろー!!)」

某芸人のネタを心の中でやってのけ、思い切って村岡に言った。

「す、すきだよ、村岡のこと。」
「ほんとに?」

嬉しそうに微笑む村岡を見てまたキュン。
俺を殺す気か!
いや、普段の村岡とは格段に違うけどね。
こういうのってツンデレっていうのか?
あれ、ちょっと違う?

「わたしもすき……」

そう言ったので、これは隣に行くべきだろう!と思った俺は、すぐさま隣に寄り添った。
しばらくして、俺の肩に村岡の頭が寄りかかってきた。
横を見ると、愛らしい村岡の寝顔。
あんまり酔ってない俺はこの状態にニヤニヤしながら、こたつでぬくぬくしていた。

「(む、ムラムラs…ゲフンゲフン)」

君と一緒に。


…おまけ…

そのまま俺も寝ちゃったらしい。

「ちょっ、離せ馬鹿!」

俺は村岡を抱きしめて寝たらしく、目が覚めた村岡は起き上がるのに困ったらしい。
そんな村岡の耳元で、そっと囁く。

「愛してる」

そう言うと、耳まで真っ赤にして

「うぎゃー!離せ離せ離せ!!!」

と叫ぶ村岡なのだった。

「(ちょ、可愛い)」

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To 凛華様

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