「何アルカ?」
「だから、あの映画見に行きやせんかィ?」
「ハ?」

やさしい あいつ

肌寒くなってきた11月の初め。
チャイナ服が寒そうな神楽と、いつもの隊服の沖田が公園にいた。
話の内容はいつもの喧嘩と全く違う。
だからか、少し戸惑った表情の神楽と、少し照れくさそうな沖田だった。

「何でお前なんかと行かなきゃいけないアルカ。」
「俺だって行きたくねぇやィ。…あ、じゃなくて、酢昆布の勉強になりやすぜィ。」

そう言って沖田の指差す先には、『酢昆布大百科完全版映画』と書いてあった。
…いや、意味分かんねーよその映画。
そんなものに惹かれるのか。
そう考えていた沖田だったが、神楽の目が輝いたときには心の中でガッツポーズ。

「是非見たいアル!お金は何円アルカ!?」
「俺のおごりでィ。ほい、チケット。」

チケットを受け取った神楽はおおはしゃぎで、映画館の中へと入っていった。

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映画が終わって、沖田は食べたわけでもない酢昆布の酢の臭いで少し気分が悪くなったようだ。
そんな沖田を尻目に隣で神楽が酢昆布を食している。

「いやぁ、あの酢昆布は私的にナイネ!でも、アレはありアルよ!!」

語り始める神楽に、頷くことしか出来ない沖田。
しばらくして、具合の良くなった沖田は神楽とゲーセンに入った。
2人仲良くポッ●ンしたり、太鼓の●人したり、UFOキャッチャーで取ったぬいぐるみを神楽にあげたりした。
そして、夕日の差す帰り道。

「そろそろ帰るアル。じゃーなサド野郎!」
「ちょっと待ちなせェ。俺が送りまさァ。」
「……え?」
「だから、俺が送るって言ってるんでィ。」

そう言って少し強引に神楽の手を引っ張る沖田。
その瞬間、ポッと神楽の頬が赤くなったのを先へ行く沖田は知らない。

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万事屋銀ちゃん前。

「着きやしたぜィ。」
「お、おう。1つ聞いてもいいアルカ?」

夕日で隠れる神楽のちょっと赤い顔。
だから、神楽は思い切って聞いてみた。

「何ですかィ?」
「今日は何でそんなに……アルカ。」

小さくて沖田には届かない神楽の声。

「ん?」
「だ、だから、きょ、今日はどうしてそんなに優しかったアルカって聞いたアル!」

そう言う神楽の顔は、夕日の中でも分かるくらい真っ赤で、そのうえ上目遣いだった。
沖田はそんな神楽を見て(可愛い…っ)と悶えるのだった。

「そ、それは…チャイナのことが…」

やさしい あいつ

(それはチャイナのことが…すk)
(ガラッ)
(はっぴぃばーすでぃ、かぐらぁぁ!!!)
(うわぁ!みんなどうしたアルカ!?)
(サプライズパーティーなのよ!)
(うわぁ、うれしいアル!)
(…アレ、俺の告白はお預けですかィ…?)


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20091103
Happy Birthday! to KAGURA

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