わけあって、わけあって
(とある不動産勤務のS氏の話)


いらっしゃい。
こんにちは、こちらにどうぞ、おかけ下さい。
お茶は熱いのでいいかな?
さてさて今日はどういった物件をお探しで?
ふーん。不動産巡りもそろそろウンザリしてきちゃったって顔だね。
なかなか思う条件に合う部屋探しって難しいよね。
じゃあ、今回はちょっと視点を変えて。そんなあなたに本日は特別に極秘物件をご紹介します。

一つ目は少々難ありの物件。
とってもよい性格なんだけど、ちょっとその間取りに癖があってね。
そうだね、一度住んでみればよく分かる。一口ではとても言い表わせないんだよ。
かわいい面もあるかと思えばそうもいかない。君色の部屋に染めるには一筋縄ではいかないだろうね。どうやら本当に好きなひとにしか触らせないみたいだから。
まあいわゆる“ツンデレタイプ”ってヤツかな。

もう一つは曰く付きの物件。
別に本人自身に非があるわけじゃない。
その生い立ちに少々影が差しているだけで。
実物は至って普通の好青年タイプだよ。
清潔感漂う室内の、驚く程広く感じられるその懐の広さ、包容力。
住んでいてとても安心するね。
ただ、相手の事をいたく気に入っちゃうと、少々強引な手段を取っても手放しがたい素振りを見せるからその辺は注意だね。
ガッチリホールドされて、他に浮気なんてとてもできないよ。

それでも、この二つはお互い惹かれあって暮らしている。本人達はそれで幸せなんだから、俺達が入り込む余地がないよね。
だからこの物件はこれでもうおしまい。
ごちそうさま。
あ、くれぐれもこの物件は内密にね。
君が住んでる街でも、もしかしたら会えるかもしれないね。
それじゃあ、また掘り出し物があるかもしれないからいつでもおいで。

訳あって、分けあって






-------< おわり/>
(5.15up)(逆擬人化デスか?(違)






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