ぽかぽか陽気に目蓋が重い。
おまけに背中から伝わるアスマの少し高い体温が心地いい。


「…アスマちゃん」

「ん?」

「……眠い」


何時もの様に手にした愛読書もつらつらと流れて行くだけで何一つ頭に残らない。
潔く諦めて背中にかける体重を増やせば、後ろからアスマの少しばかり不満げな声が上がった。
正直もう気にしてなんていられないけれども。


「カカシ」

「……ぅん…」

「ったく、しょうがねえな」


微かに伝わる振動からアスマが笑ったのが分かった。

嗚呼、顔を見れないのが残念だな。
だってその困ったように笑うアスマは好きなんだ。

出来れば振り返ってやりたいけれど襲い来る睡魔には勝てそうもない。
だから、目が覚めたら。
目が覚めたら思いっきり堪能しよう。

そう心に決めて意識を手放した。







(その笑みは、
 自分だけに見せる特別なやさしさ)



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