第7回 | ナノ
「なーなー!昨日さ!」

あ、今日もだ。
最近わたしの中で日常の一部分になっている事。野球部の田島くんの野球部話を聞くことだ。よくわたしを見かけては声をかけて野球部の話をしてくる。何回か聞いたことのあるような話も、たまに。

こんな事が始まったのはごく最近の話だ。確か…桐青戦が終わってからだから一週間前くらい。千代ちゃんに勧められて観客席の一番上でその西浦公式戦の初勝利を飾った試合を見に行ったのだ。最初は興味本位。だけど後半戦になるにつれていつのまにか大きな声で声援を送っていた。その時に田島くんとはよく目が合っていた。
それからというもの、わたしを見かけては声をかけて、野球部の色んな話を聞くのだ。

今日は三橋くんが練習中に熱中症で倒れた話を聞いた。それを楽しそうに話す田島くん。
そんな彼の普通の話を、わたしはなぜかドキドキしながら聞いている。

「恋だな」
「文貴が真顔で言うと気持ち悪いからヤメテ」
「ひどくない!?」

その経緯を彼に話せば案の定ニヤニヤした顔で言われた。こいつのニヤニヤした顔は西浦で二番目に嫌いだ(一番は阿部の笑顔)。
腐れ縁の文貴には隠し事をしても何故か口が勝手に動いて色んな事を喋ってしまう。もちろん彼もそれは同じみたいなのだけれど。

「そんな気になるなら田島に聞けばいいじゃん」
「何を?」
「何でわたしにそんな話してくれるのー?って」

彼が恐ろしいくらいに女の子の真似が上手いのはこの話では関係の無い事なので放っておこう。
ともかく、わたしは文貴のあげたその案に乗ってみようと試みたのだ。

「あ!…あれ、水谷?」
「よっ、田島」
「何でお前がコイツと一緒にいるんだよー」
「分かった分かった。俺先部室行ってるから」
「シッシッ」

噂をすればなんとやら。さっそくご本人登場だ。でもいざ本人を目の前にすると聞く事をためらってしまう。聞いて何が変わるのかとか無いかもしれないけど。

「ねえ田島く「なあ、水谷と仲良いの?」
「え?あー、まあ」
「嫌だ」
「…はい?」
「お前が水谷と仲良くするの、やだ」
「田島くん、どうしたの?」
「俺、今水谷にすっげー嫉妬してる!」
「ああ…」
「俺が何で声かけると思う?」
「…さあ?」

「お前のこと、すんげー好きだから!!!!!」

ああ、つまりそれが言いたかったのですか。



聞いて欲しいことはたくさんあるけどとりあえず、大好き! /0908
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