わたしはめんどくさがりだ。 それもかなりの。 でも、それを直そうとは思わない。 「けんまー」 ベッドで寝そべりながら、すぐ傍でゲームをしている幼馴染に話しかける。 同い歳の幼馴染、研磨の部屋にお邪魔するのは毎日のことだ。 幼馴染だからというワケもあるが、何より私が研磨に"依存"してるからだ。 「…なまえ、いい加減家に戻りなよ。」 「えーいーじゃん、研磨ん家落ち着くし。」 現在時刻 20:30 時々、夕飯をご馳走になったりすることもあるが、今日もそうだった。 もちろん家も隣なので、すぐに行き来することができる。 幼馴染というものは便利だ。 だが、この時間になってあることに気づいた。 「あ、そういや課題やってない。」 「…また?」 「またって何。いつもはちゃんと自分でやってますー」 「…たまには自分でやりなよ。」 「だって分かんないし!」 明日提出の数学の課題。 数学は私がこの世で最も嫌悪するものの内に入るほどだ。 とにかく、数学は人類の敵だ。 「…持ってきなよ。ちょっとなら教えてあげる。」 「やっほーい。」 怪訝そうな顔をしながらも、研磨は何だかんだ言って教えてくれる。 いやぁ、私ったら良い幼馴染を持ったなぁ。 だが、一旦家に戻ろうと腰を上げた瞬間、私に途轍もない怠惰感が襲った。 私はすぐにひょろひょろと床に腰をついた。 「…どうしたの。」 「……………。」 「…やる気ないでしょ。」 「い、いや、そうじゃないんだ。ただ立ち上がった途端、すごく面倒くさくなって……。」 「………………。」 私が黙って援助の眼差しを送れば、腫れものを見るような目で見られた。 まぁこんなものもしょっちゅうだ。 私は重度のめんどくさがりで、ただ家に一旦戻るだけでもめんどくさいと感じてしまう。 ものすごい怠惰感を感じ、動く気力が失うという驚異の力を持っている。 まったく恐ろしい。 「…ホントになんでなまえって何でそんなにめんどくさがりなの。」 「研磨も似たようなもんじゃん。」 「なまえほどじゃないけど。#名前#は重症すぎ。」 「でも、そんなこと言いながら研磨、けっこう世話焼いてくれるよねー」 「幼馴染だし、慣れた。」 昔から研磨とはずっと一緒に居る。 もう一人年上の幼馴染が居るけど、私の昔からのめんどう嫌いはずっと変わらない。 研磨はぶつぶつ言いながらも、面倒を見てくれたりする。 私、研磨が居るおかげで生きていれるようだ。 研磨が居ないと私、めんどうくさすぎて死ぬかもしれない。 研磨は怪訝な顔から、少しだけ微笑んでつぶやいた。 「それと、なまえが好きだから。」 こんな世話焼きな幼馴染、研磨しか居ない。 そんなことをふと思った。 |