「潮江文次郎!!」 「何だなまえ改まって」 「嫁にこないか!!」 「「ブーッ!!!」」 留三郎と文次郎が同時に盛大にお茶を吹き出した。うん、やっぱり仲いいなお前ら あと留三郎は気付いてないけど、さっき留三郎が吹き出したお茶を頭からモロに被った仙蔵がプルプルしてる 後で確実に殺されるんだろうな留三郎ご愁傷様 「な、何を言ってるんだお前…」 「強いし真面目だしいい男だし」 「いい男!?こいつが!」 「は、男の嫉妬は見苦しいぞ食満」 「いやまあそりゃ食満の方が顔はいいというのは否めないけど」 「見たか!」 「うるさいぞ」 仙蔵が留三郎の頭を凄い勢いではたいて、頬杖をついていた留三郎はその勢いのまま顔面を机にしたたかと打ち付けた うわあ痛そう、絶対さっきのお茶の腹いせに違いない恐ろしい 「それに料理も出来るし」 「あーまあ確かになまえはなあ…」 「料理も掃除も、はい出来ない!」 「そんなドヤ顔されても」 鼻を抑えてる留三郎と少し気が晴れたのか清々しい顔をしている仙蔵についてはみんな一言も触れずに話を続ける みんなこの六年間で色々学んできたのである 「そもそもお前クノイチ向いてねえよ」 「いや、クノイチどころか女向いてねえよ」 「だから文次に嫁に来いと言ってるんじゃないか、私は旦那として頑張るよ」 「頑張りどころ違ぇよお前」 「というか女向いてねぇってとこは否定しないんだな」 「自分の性別の間違いに気付くぐらいには私は十分生きたつもりだよ」 「何黄昏てんだお前」 「で、返事は」 文次郎を見ると、奴は大きく息を吸い込んで 「バカタレィ!」 叫んだ え、何で私今怒られたの プロポーズの返事が怒号なんて初めて聞いたんだけど 「お前もクノイチとして生きるなら家事ぐらい出来ずにどうする。それにオレは嫁にするなら仕事も家事も両立出来る奴を選ぶ!」 さっきまであんなに騒がしかった食堂の空気が一変して凍りついた。 そりゃそうだ、学園一ギンギンに忍者してる地獄の会計委員長が突如嫁の理想像を大声で熱弁し始めたんだから あまりの剣幕なもんで私もビックリして思わず口をあけたままフリーズしてしまった 一方の文次郎は叫んでスッキリしたのか、食べかけだったからあげ定食にまた口をつけ始めてる 「お、落ち込むなってなまえ。文次郎お前言い方きつすぎるぞ!」 「本当の事を言ったまでだ」 必死に私を慰めてから小声で文次郎に説教してる(全部聞こえてるけど)留三郎 お前は本当に優しい子だよ、流石いけまんである しかし私は生憎筋金入りのポジティブ野郎だ。今のお叱りだって取りようによったら、 「つまり私が家事出来る様になったらいつでも嫁に迎えてくれるという事だね!」 「…は?」 確かにそうだよね任務も家事も全部二人で出来る方が幸せだ 「食堂のおばちゃん!」 「任せなさい!!」 おばちゃんの方をバッと見たら話を全部聞いてたらしいおばちゃんは私に向かって親指をぐっと立てた 何て頼もしい 「よしじゃあ早速今この瞬間からおばちゃんに弟子入りしてくる!」 「ビシビシしごくわよー」 「お願いします!!!!」 「よかったな文次郎将来の嫁が見つかって」 「…」 本日、絶好の告白日和 |