ぱちり、と瞳が瞼を開かせた。 未だがんがん痛む頭を軽く抑えながら起き上がる。窓を見る。そこから取り込むのは大口をその歯の様な木枠で閉ざされた薄いガラスの光だ。当然外の世界は朝を跨ぐ様で、寝過ごした事を脳髄に伝わせる。 「起きろ、なまえ」 麗しき自分の姫を起こす。昨日の夜の事が頭を巡る。あァ、ついに何て自嘲気味に笑む。少し機嫌の悪そうな声を上げて、ふそりと姫は眼を開く。 「んァ…」 「朝だ。休みとは言え怠惰は許さん」 「お前さん厳し…昨日の事を汲み取ってだね、」 「誘ったのは貴様故関係無い」 確信を突いてやる。 ぐうの音も出ずの様な奴にゆるりと笑んで、昨日床に放り脱いだワイシャツを拾い上げる。う、と苦しそうに起き上がる其奴を見て漸くかとつぶやけば、煩いと反論された。女らしからぬ女を私はよく好きになったものだ。 嫌な訳では無い。寧ろ嬉しいものだ。 「今日は貴方の一番にしてね、か」 「ッう!?」 「中々聞けぬ逸品だった」 「やめ、やめろ!!理性がぶっ飛んでる時の話しだろ!」 「そうであろうと貴様の声だ」 「あぁぁぁ!」 顔面蒼白なのか赤面なのかよく判らん顔で訴えられる。 それにもう一度にたりと笑むと少し満足した気持ちになり、奴の姿を背に踵を返し軽く服を着て、"早く降りてこい"と言って部屋を出た。 「今日だけで無くとも、何時でも一番なのだがな…」 今日は貴方の一番にしてね (あの懇願の瞳は殺人級) |