私は大き目の化粧鏡に向かって唇にリップグロスを塗っていた。 キス専用の…とパッケージに書いてあったから買ってみただけで他意はない。 決して他意はない。 「………ふぅ」 ピンクでキラキラしててプルプルで、自分で言ってなんだか食べたいと思ってしまった。 「なまえ…」 そこに三成がやってきてしまう。 メイクをしているのは秘密なのに…と思ったけれどもういいや、と諦めてしまった。 「あ、三成…」 「なまえ、そ…その……」 三成は顔を青くしたり赤くしたり忙しそうにみえる。 「…可愛い?」 えへへ、と笑ってみた。 「ああ、可愛い」 落ち着いたのか近寄ってきて、優しく抱きしめてくる。 私はその温もりに目を閉じた。 「知ってるし、私可愛いの」 「じゃあなぜ言わせた…」 「うれしいから…あんたに言われるの」 ふわり、とバラのにおいがして、目を開けると、三成は似合わないくらい大きなバラの花束を私に見せる。 「やる……」 「ありがと」 一応そのまま受け取ると、真っ赤なバラが軽くはらりと散ってしまう。 理由は、私が受け取ったとのもあるが、三成が強引に私にキスをしたからだ。 「メイクが落ちるでしょ…」 「お前が誘うからだ」 「誘ってなんかない……っ」 またキスをしてきたから、リップグロスがもったいないとか思ったけど何よりも動くたび散りそうになるバラが可哀相だと思った。 チュウしたくなるくちびる |