02


そしてそして。
あっという間にぼくは女の子に変身させられ、呆然と鏡の前に立ち尽くしていた。

肩にかかる長さ髪の毛(上質で、まるで本物みたいだ)、控えめなフリルのついた白いブラウス、そのブラウスをハイウエストの淡い水色のスカートにインして、低いヒールのベージュのパンプスを履いている。

自分で言うのもなんだけど、鏡に映っているのはどこからどう見ても可愛らしい女の子で、ぼくじゃないみたいだ。

ネズミが呼ばれて、若い女性店員に何か聞かれている。

「お化粧はどうなさいますか?」

ネズミはちょっと待ってと返事をして、ぼくの隣に来る。
ぼくは咄嗟に俯いた。

「ちょっと、紫苑」
「…なんだよ」
「こっち向いてよ」
「やだ」
「見えないだろ」
「いいじゃん」
「じゃあ、化粧頼んでもいいのか?」
「はっ…え?」

油断した隙に、ネズミに顎を掴まれ上を向かされる。

「うん、紫苑可愛い。やっぱりこのままがいいや」
「うっ…」

不覚にも赤面してしまう。
ネズミは、再び俯いたぼくの頭をなでなでしながら、店員さんにクレジットカードを差し出していた。

「メイクはなしで。それじゃ、ここから引いといて」
「ありがとうございます」

会計をすませると、上機嫌なネズミはうやうやしくぼくの手を取って、店を出る。

「それではお嬢さま、どこにお出かけいたしましょうか?」
「…ネズミ、なんだか計画的すぎやしないか」
「うん?なんのこと?」
「とぼけるなよ、絶対画策してただろ」
「そう拗ねんなって。似合ってるぜ。すっごく可愛い」

そんな事を言ってこっちを覗き込んでくるものだから、あわてて顔を背ける。
ローヒールとはいえ、パンプスを履いているのに、まだネズミの視線の方が高いのが悔しい。

「計画してたっていいじゃん」
「…結局肯定しちゃうんだ」
「最初から否定もしてないぜ。紫苑、考えてみろよ、メリットの方が多いだろ?」
「へぇ。例えば?」
「知らないのか?ゲーセンのプリクラスペースには男だけで入れない」
「プリクラ撮らなきゃいいだろ」
「この可愛い紫苑をプリクラに納めなくてどうする。記念に撮るべきだろう。この機会を逃す奴があるか」
「それ、本末転倒だから!やっぱりぼく着替えてくる」
「待て待て紫苑、まだ他にもメリットはある」
「ふぅん?」
「今日は、カップルで行くとデザートが無料で付くお店に連れて行こうと思っていて」
「デザート代くらい自分で払う。ってことで、じゃあ」
「いやいや待て早まるな、まだメリットはある」
「まだあるんだ?」
「もちろん」

得意げにネズミは微笑み、ぼくの手を取る。

「ん?なに、ネズミ」
「ほら」
「なにが、ほら、なんだよ」
「分かんないの?紫苑、にぶいなあ」
「はあ?」

街中でも堂々と恋人繋ぎで歩けるし?

は、ちょ、ネズ…、離せ!

照れなくていいのに…ふふふ



35353hit、「ネズ紫のギャグ小説、一概にギャグというよりほのぼのギャグみたいなもの」というリクエストでした!
えぇと、すみません!!
原作沿いにしようと頑張って考えてたんですが、結局パロにしてしまいましたごめんなさいorz(土下座)
でもこの現代パロの設定けっこう気に入ってるのでシリーズ化するかもです(言うだけならタダですもんね!)
いや、あの、デートの続きとか、二人の出会いとか、書きたい気持ちはたくさんあるのは本当ですよっ!

ではでは、駄文で申し訳ありませんが、これからも迷路をよろしくお願いいたしますm(__)m




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