姫を護る従者のように
!)現代パロX'mas ・小学生低学年ネズミ(甘えんぼ) ・保護者紫苑(過保護気味) ・アパートで二人暮らし
ことしは、てんのうたん生日がお休みだったから、クリスマスイブもお休みなんだ。ふりかえ休日っていうんだって。 だから今日はずっと、しおんと遊んでいられる。しおんも、今日はお仕事お休みだもの。
姫を護る従者のように
「しおん、おはよう!」 「あ、おはよう、ネズミ。早起きだね」
いつもは、紫苑が朝食を作ってから起こしに行ってやるまでベッドでぐずっているのに、今朝は自分で起きてきたようだ。 紫苑は台所に入ってきたネズミをちょっと振り返って微笑む。
「ネズミ、冷蔵庫から卵を取ってくれるかい?」
ネズミはまだパジャマ姿のままで、長くなってきた髪もあちこち好き放題にとびはねていた。
その様を見て、そろそろ散髪してあげないとな、と考える。
「たまご?…ふたつ?」 「うん」 「はい、どうぞ」
ネズミは少し背伸びして、小さな手にひとつずつ卵を乗せて紫苑に差し出してくる。
「ありがと、ネズミ」 「ん」
紫苑はバターで熱したフライパンに卵を二つ割り入れ、軽く菜箸でかき混ぜる。頃合いを見て塩コショウを振りかけ、コンロの火は消さないまま素早く、フライパンから出来上がった半熟スクランブルエッグを皿に移す。
「しおん、おれ、何かすることない?」 「ん?ああ、そうだね、」
ぽいぽい、と先にまな板に刻んであったエリンギやチンゲン菜などをフライパンに放り込み、少し思案した後ベーコンも投入する。
「じゃあ、このお皿を、」
じゅうじゅうと湯気を立てるフライパンを忙しなく菜箸でかき回しながら紫苑は、卵の乗った皿と、取り皿を、視線でネズミに示す。 「…テーブルに持って行ってくれる?」 「うん!」
賢いネズミはすぐに理解し、嬉しそうに頷くと、大事に皿を抱え持ってテーブルに運んで行く。
「しおん、ごはん、できてるから、おちゃわんに、ついでおくね!」
テーブルに置いてある炊飯器の米が炊けたようだ。気を回したネズミが、ご飯をよそおうとしてくれているらしい。
「あ、だめ、ネズミっ」
紫苑は慌てて野菜炒めを放り出し、テーブルにすっ飛んで行く。 今まさに炊飯器の蓋を開けようとしていたネズミの手をひっ掴む。
「し、おん?」 「ネズミは、開けたらだめ!さっき炊き上がったばっかりだから、熱い湯気がたくさん出てくるんだよ?火傷しちゃうかもしれない」 「ご、ごめんなさい」
紫苑の剣幕にびっくりしたらしいネズミが謝る。
「いや、いいんだ、きみに怪我がなくて良かった」
炊飯器は紫苑が開け、しゃもじでざっくり混ぜてからネズミに茶碗を渡す。
「はい、ネズミ、よろしくね、」
そこで紫苑は、はたと思い出す。そのままにしてきた野菜炒めのことを。
「やばっ、」
再びすっ飛んで台所に戻り、コンロの火を止めて、黒焦げ寸前だった野菜炒めを救出する。
「しおん、どうしたの?」 「あはは…ちょっと焦がしちゃった」
コトン、と紫苑がテーブルに置いた野菜炒めを見て、ほんとだー、とネズミが笑う。
「さ、食べようか、ネズミ」 「うん!いただきまーす!」
早速ネズミが瀕死の野菜炒めに箸を伸ばす。
「あ、ちょっとにがいね」
それでも幸せそうに朝食を頬張るネズミを、紫苑は心底愛しいと思い、自然と頬がゆるむ。
「ネズミは、焦げてないとこを食べなさい」 「はーい。ね、しおん、」 「なんだい?」 「おひるは、ケーキつくるんでしょ?クリスマスケーキ!」 「ああ、そうだったね、」 「約束だったもんね!おぼえててくれたんだ、うれしいなあ」
実を言うと、忙しかった紫苑はケーキ作りの約束を、不覚にもすっかり忘れてしまっていた。 だが、無邪気なネズミの笑顔を見ながら、そう言うこともできない。
「じゃあ…、材料、一緒に買いに行こうか」 「ほんと?つれてってくれるの?やったあ!」
輝くように笑うネズミの髪がぴょこぴょこと跳ねている。 紫苑は目を細めてネズミの髪に触れる。くるりと指に絡めると、ネズミはくすぐったそうに笑い声をあげた。
そういえばネズミ、髪切らなきゃね
えー、やだ
どうして?長くなってきたじゃん
おれ、長い方がすき。しおんのかみも、長い方がいい
え?ああ、そうなの?…まぁ、散髪は後でもいいか…
ね、しおん、それよりはやく行こ、はやくはやく!
えーと、以上です。 雨志さん宅で見た小学生ネズミが可愛らしくて忘れられなくて、ついつい設定(ネタ)を無断で拝借してしまいました。てへぺろ☆(殴
脳内が幸せな、子ネズミって、ほんとうに、可愛いと思うの! 紫苑はそんな天使ネズミにデレデレしてればいい。
ちなみにネズミが散髪を渋るのは、髪伸ばしてると無意識によく紫苑が髪を触ってくれるから、それが嬉しいから、なるべく髪を切りたくない、みたいな。そんな可愛らしい理由です。 んー、なんか日本語が不自由ですんませんww
あまりクリスマスな感じのしない話になってしまいましたが…
メリークリスマス\(^o^)/
タイトルは、macleさまよりお借りしました。
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