甘い午後を共に


!)ネズ紫
・パティシエネズミ(25)と弟子紫苑(19)
・紫苑はネズミに弟子入りしてまだ2年の半人前さん
・時系列的には『チーズケーキに恋をした』と『紫芋はモンブランになりたかったのです』の間のお話。



クリスマスケーキの売れ行きのピークは23日だ。それが過ぎるとクリスマスイヴにかけてラストスパートがかかり、25日のクリスマスを迎えてやっと、パティシエは息をつくことができる。

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしています」

本日最後の客を笑顔で送り出す。
そこで緊張の糸が切れたのか、徹夜続きだったネズミの体はふらりと傾ぐ。

あ…やばいな。

「ちょ、ネズミさん!?ネズミさん…!!」

紫苑の悲鳴と、ガシャンと何かを取り落とす音。
こちらへ慌てて駆け寄ってくる足音を、ヴェールを通したように遠くに聞きながら、ネズミは昏倒した。
紫苑の腕に抱きとめられた感触を最後に、ネズミは意識を手放した。

数時間後、ふわふわと漂うような心地よい眠りから目を覚ましたネズミは、横たえられていたベッドからゆっくりと身をおこす。
ふわりと欠伸をひとつして、辺りを見回す。見慣れない部屋だった。白いカーテンのかかった窓から柔らかい光が射し込み、板張りの床に窓枠の形を映し出している。

ぼんやりとそれを眺めていると、がちゃりとドアが開き、紫苑が顔を出した。

「ネズミさん、気がつきました?」
「ああ…」
「お店はイヌカシに任せてきましたけど、いいですよね。あ、ここ、ぼくの部屋です。近いんですよ。急に倒れたので、とりあえずここに」
「あんたが運んでくれたのか」
「はい。ネズミさん、軽くてびっくりしました」

紫苑は目尻を下げて眉を寄せ、心配そうにこちらを覗き込んでくる。
気遣われることに慣れていないネズミは、それがどうにも気恥ずかしく、さりげなく目線を窓の外に遣って紫苑の優しさに溢れる視線から逃れた。

「…最近、食べる暇がなかったからな」
「だろうと思いました。ちょっとそこで待っててくださいね。いいですか、まだ動いちゃだめですよ」

そう言い置くと、紫苑はぱたぱたとスリッパの音をさせながら走って部屋を出ていった。
白うさぎのようなかわいい弟子が視界から消えてほっと一息ついたのも一瞬で、すぐに紫苑は舞い戻ってくる。両手に膳を持っていた。

「胃に優しいものを…と思って、お粥とリンゴのすりおろしを持ってきました。食べられます?」
「…あんた、気が利くな」
「ネズミさんのためですから」

紫苑はにこっと嬉しそうに笑い、粥をひとさじ掬って口元に差し出してくれる。
それを大人しく食べながら、ネズミは久しぶりに心が安らぐのを感じていた。






あ、あと、ネズミさん…ケーキもあるんですけど

あんた、さっきまでおれの胃を気遣ってくれてたんじゃなかったの?

え…と、あの、お店のじゃないんです

え?

ぼく…レシピから考えて…クリスマスケーキ作ってみたんですけど…やっぱり食べられませんよね…

…持って来いよ。食う

ほ…ほんとですか!?




ネズ紫です…ネズ紫…(何故か紫ネズに見える)
ていうか、失神してるネズミさん(身長差8cm)を自宅まで抱えて来ちゃうって、紫苑さんどんだけ力持ちなの(笑)
このお話の時点では、二人はまだくっついてないのかな…
紫苑の敬語がなんか…違和感。
でも師弟なんだから当たり前よね?
で、師弟からだんだん親しくなっていって、ネズミが我慢できずに紫苑に手を出しちゃう形(もちろん、もとから紫苑はネズミにベタ惚れ)で、めでたく恋人になって、タメ語で話すようになって…そんで、紫芋のような二人になるわけですよ。そんなお話です、そんな設定です(今考えた←)
なんかこの二人が可愛くなってきた…!w
末長く爆発してください。


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