爪先立ちの恋愛


拍手お礼文(2012/3/12〜12/27)

君の世界番外9、イヴ転入編から次の話への継ぎ目のお話(イヴはネズミの双子の兄)


「じゃっ、お二人さんお幸せに」

にこやかにそう言った長身の美少女は、混雑する空港内の人目も憚らず粋な投げキッスをする。
赤面するネズミといつも通りに笑う紫苑を残し、女装の麗人イヴはしゃなりしゃなりとモデルのような歩き方で手荷物検査のゲートをくぐっていった。





空港から都心への帰り道、車内でちゃっかり助手席を陣取ったネズミは膨れっ面だった。

「どうしたの、ネズミ。イヴがいなくて寂しい?」
「ちがう」
「無理しなくていいんだよ?寂しい時はぼくのマンションに来たらどう」
「そうだな…、え、…はっ?」
「ああ、まあ実をいうとね、きみの家に寄って帰るの、この渋滞だからかなり時間かかるんだよね。明日も休日だしさ、行き先はぼくのとこでいいかな」

紫苑はじりじりとしか前進しない車列を眉を寄せて睨み、無意識にハンドルを軽くトントンと指で叩く。
それを横目で見て、ネズミはふんと鼻を鳴らした。

「どうせ誘ってくれるんなら、もうちょっとロマンのある言葉使えないの。あんたの言語能力って…」
「あー、わかったわかった」

チンパンジー以下なんじゃないの、という続きを見越している紫苑は、苦笑しながらネズミの文句を遮る。

「じゃあ、これでどうかな」
「へぇ?どんな」
「きみがいないと夜も眠れない。いつもはきみの残していったシャツを抱き締めて寝てるんだけど、今日くらいは本物のきみを抱き締めて寝たいな」
「ぶっ…、ちょ、へ、変態くさい!」
「そうかな」
「ていうか、それほんとかよ!」
「なにが?」
「おれの残していったシャツを…」
「ああ、うん。本当だけど」

悪びれもせず、しれっと紫苑は頷く。対してネズミは耳まで真っ赤にしながら抗議する。

「返せ!おれのシャツ返せ!」
「え、いらないって言ったでしょ」
「前言撤回!ボタン繕っておれが着るから、返せ」
「ふぅん。じゃあこうしよう。ネズミもぼくのあげた赤チェックのシャツ返してくれるなら、返すよ」
「無理。あれはおれのパジャマだ。大きさがちょうどいいんだから」
「そう。交渉不成立ということで、やっぱりネズミのシャツはぼくのもの」

ふふふと勝ち誇って笑う紫苑を上目で睨み、ネズミは不服そうに口先を尖らす。

「あの赤いシャツは、おれのシャツをだめにしたお詫びにくれたんだろ…」
「あ、ネズミ、そのままストップ」
「は?」

ネズミが戸惑う隙をついて、紫苑はすばやくキスをした。


えっ、し、紫苑、それ反則…っ

ネズミの表情こそ反則

表情?おれのなにが

でもネズミ嬉しそうだね

はあっ?



end.
ネズミの表情がほぐれているのは、ライバル(=イヴ)がいなくなって安心したからです。

あああいつにも増してぐだぐた会話文ばかりですいません…!!
拍手してくださる方へのせめてものお礼にと替えたのですが…orz
猛反省してます…!
また近々、も少しマシなの書いてupしますね…(・ω・`)


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