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「ちょっとネズミ、さぼらないでよ、ほらイヌカシも!あっ、力河さんこれお願いしますね」

矢継ぎ早の指示が飛ぶ。

「さぼんな、って言われてもなぁ、紫苑。何もやることねぇんだもん」

イヌカシがぼやく。

「おや、珍しく同意見だ。おれたち、紫苑大先生に作業禁止されてるおかげで手持ちぶさたしてんだ。おれは客寄せパンダになればいいんだろ」

ネズミは腕を組み、壁に背を預けた姿勢で嫌味を言う。

「ああもう、屁理屈言わないでよ!二人とも作業が雑だから任せられないんだってば!」

4人がいるのはカフェの厨房。このような状況になったのは以下のような経緯があった。


ロストタウンで小さな喫茶店を経営することになった力河。
年老いた知り合いから店舗を安く譲り受けたらしい。

「経営が軌道に乗るまででいい。少し手伝ってくれないか。もちろんアルバイト代は出すさ」

紫苑は二つ返事で了承し、イヌカシは興味本位でその話に乗り、ネズミは半ば強引に紫苑に説得され、(「ネズミ、力河さんは僕たちの矯正施設潜入にあれだけ尽くしてくれたじゃないか。恩は返さないと!」)、喫茶店『dolce』は開店した。


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